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写真 アセロス・コミュニケーションズの戦略マーケティング担当の大澤智喜執行役員
写真 アセロス・コミュニケーションズの戦略マーケティング担当の大澤智喜執行役員
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 米アセロス・コミュニケーションズの日本法人で代表取締役社長を5年間務めた大澤智喜氏が,7月1日から執行役員となり,戦略マーケティングを担当することとなった。社長には,半導体業界で経験を持つ鎌田純一氏が就任した。この人事でアセロスは何を狙うのか。大澤執行役員に直撃した。(聞き手は中道 理=日経コミュニケーション

――肩書きが変わった理由は。

 私が一人で社長をやっていればよかった時代が終わったということだ。PHSやUSB機器,携帯電話向け無線LANチップなどもはやパソコン向け無線LANのチップベンダーという枠に収まりきれなくなっている。そこで,新しく迎えた社長の鎌田と役割分担し,二人三脚体制でやって行くことにした。具体的には,鎌田が営業全般を担当し,私がマーケティング全般を担当する。特に私は,長期的な視野に立った技術動向を見るというミッションを持っている。米国本社は日本が無線技術を主導していると考えており,日本のメーカーや市場の動向を見ることで今後の世界の動きを見ようとしている。その役目を担うというわけだ。

――今,無線LAN市場は停滞している感じがする。
 
 確かにそうだ。非常に動きが鈍い。その裏には,無線LANならではのアプリケーションが見えていないことがあると思う。例外は,ゲーム機だ。ソニーのPSPやニンテンドーDSの対戦ゲームで無線LANが広く使われている。ゲーム機では「こうしたことがしたいから無線LANが必要」ということがあったから使われるようになったのだ。他の端末で,そういったニーズがもっと出てこないことには,広がりがないということだ。無線LANはパソコンに入り,ゲーム機に入り,携帯電話に入った。普及している台数で行けば,デジカメや車が有望だ。ここでどれだけ魅力あるアプリケーションが考えられるかが大きな鍵になる。

――デジタル家電はどうか。

 当然無線LANが入ってくるだろう。家電にはWireless USBがいいという説があるが,IEEE 802.11nがやってくれば同じ速度を出せるようになる。Wireless USBよりも無線システムとして完成度が高い。そもそも,Wireless USBで使われているマルチバンドOFDMはIEEE 802.11aで規定したOFDM技術と非常に似ている。コピー・ペーストしたのではないかと思ったぐらいだ。同じ技術なのであれば,実績のある無線LANがよいのではないか。

――802.11nの進捗状況について聞きたい。

 日本にいると良く分からないというのが本音だ。ただ,米国本社から入ってくる情報などを総合すると,順調に進んでいるらしい。うまくいっていないかのように思えるのは,一部ベンダーがネガティブ・キャンペーンを行ったからではないか。例えば,ドラフト1.0仕様に対して1万2000ものコメントが寄せられたことが問題になっていたが,そのうち4000は同じ内容のものの複数投稿だった。そうしたものを除いた技術的なコメントは3000だった。まだ,最初のドラフトなのだからこのぐらいは想定の範囲内といえる。
 
――現在出荷している802.11nのドラフト1.0準拠のチップは最終的な標準に準拠できそうか。
 
 そうあって欲しいと考えているが,それは最終版が出るまで何とも言えない。個人的にはコア技術は固まっているので,ソフトウエアの変更で動作するのではと思っている。だが,これからどういう変更が発生するか分からない。