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図 イーサネットの保守・管理用規格「Ethernet OAM」の主な機能
図 イーサネットの保守・管理用規格「Ethernet OAM」の主な機能
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 Ethernet OAM(operations,administration,maintenance)とは,イーサネット網の保守・管理機能である。2006年5月,ITU-T(国際電気通信連合電気通信標準化部門)が国際勧告「Y.1731」として標準化した。IEEE802委員会でも「IEEE802.1ag」として標準化作業が進んでいる。

 Ethernet OAMの標準化が進められてきた背景には,イーサネットの活躍の場が広がったことがある。

 元々LAN技術として誕生したイーサネットだが,今や遠隔地の拠点間を結ぶWANサービスを実現するための技術としても使われるようになっている。ただし,LANとして規格化されたイーサネットには,通信事業者が広域のネットワークで使うのに不足している機能があった。それは,遠隔にあるLANスイッチの状態を調べたり,途中の回線の障害を切り分けるような,イーサネットの保守・管理機能である。

 現状,イーサネット網を保守・管理するために,通信事業者はTCP/IPの管理プロトコル「SNMP」を使うケースが多い。しかしこの場合,遠隔地のLANスイッチをSNMPで管理できなくなったときにその原因がIPレイヤーにあるのかイーサネットにあるのか判断がつかない。そこで,イーサネットのレイヤーで保守・管理できる機能が必要になり,Ethernet OAMの標準化が進められてきたわけだ。

 Ethernet OAMの標準にはITU-T勧告Y.1731とIEEE802.1agの二つがあるが,機能の範囲が若干異なる。どちらにも共有するのは,障害管理に使う三つの機能だ(図)。

 一つめの機能は,CC(continuity check)。これは保守・管理の対象となるスイッチ群の端から端まで検査用のフレーム(OAMフレーム)を定期的に送り,つながっていることを確認する機能である。

 二つめの機能は,LB(loop back)。LANスイッチから送ったOAMフレームをスイッチ群の端にあるLANスイッチで折り返し,戻ってくるかどうかを確認する機能である。IPのpingに相当する。

 三つめの機能は,LT(link trace)。これはOAMフレームを送ったときに,フレームが通過したすべてのスイッチが応答フレームを送信元のスイッチに返す機能だ。障害が発生したときに,障害個所の切り分けに使う。IPのtracerouteにあたる。

 これらの機能のほか,Y.1731では送ったフレームの欠落や遅延をネットワークのエンド-エンドで調べる性能管理の機能を定めている。サービスの事前試験や,提供中のサービスの速度チェックなどに使う。