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 「社会インフラとなる情報システムは,日本最高の技術者を集めた“ドリームチーム”で作れ」---東京大学 工学系研究科 技術開発戦略学専攻教授 松島克守氏はこう提言する。「証券取引所や電力など,国家的インフラとして社会を支えるシステムは,ワールドカップの日本代表のように,企業の枠を超えて才能を集め,開発するべきだ」(松島氏)。

 松島氏がこう考える理由は2つある。ひとつは,その社会的重要性に比べて,度重なるトラブルを引き起こすなど,あまりに貧弱なシステムの現状だ。日本は,IT産業を基幹産業として世界と戦えるものにしなければならない。であれば,ITによる社会基盤は世界一の性能・品質を備えるものであるべき。そのためには「一企業の枠にとらわれていては実現できない」(松島氏)。

 もうひとつの理由は「IT技術者に光を当てるため」(松島氏)だ。あらゆる産業がそうだが,ITは特に人間の頭脳が最も重要な資産である。優れた才能が集まることが競争力の源だが,日本の現状を振り返れば,IT産業が若者の人気を集めているとは言い難い。「このままでは日本の優秀なIT技術者は消滅する」と松島氏は危惧する。インドや中国の技術者を使う,という方法はある。しかし「海外の技術者に依存するIT産業は,いわば工場のない製造業のようなもの。日本からIT産業そのものが消滅しかねない」(松島氏)。

 IT技術者を志す若者が不足している一因は,技術者が“縁の下の力持ち”として陰に隠れてしまっていることだ。

 才能を集めるためには,その仕事の素晴らしさを広く知ってもらう必要がある。「ドリームチーム」「日本代表」としてスポットライトを当てることで,若者のロールモデルとなる“スター”を生み出したい,と松島氏は言う。「学校を作っても,世界に通用するような優秀な人間は作ることはできない。スターがいれば,スターに惹かれて優秀な才能は集まる。長嶋選手がいたから巨人に優秀な選手が集まったように」(松島氏)。

 ただし,ドリームチームを実現するためには,企業の“オープン化”が必要と松島氏は指摘する。「この十数年間,技術のオープン化がすさまじい勢いで進み,ハードウエアもソフトウエアもオープンにになっている。しかし,企業というシステムは依然としてクローズドなままだ」(松島氏)。日本代表を実現し,世界最高のITインフラを実現するには「技術だけでなく人のオープン化が必須」と松島氏は指摘する。

 松島氏の提言,読者はどうお感じになられただろうか。ぜひコメントをお寄せいただき,議論を深めていきたい。