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=== (前編を読む) ===

 東京放送(TBS)は,1997年7月に全国で最初に放送・通信融合サービスである地上アナログ・データ放送サービス「bitcast」を開始。さらにキー局の中で最も早くワンセグ放送の実証実験に取り組むなど,積極的にデータ放送を推進している放送局である。メディア推進局 1セグ放送開発部 兼 総合企画部の清水麻里氏にワンセグ放送の取り組みとサービス内容について聞いた後編である。

(聞き手は隅倉 正隆=IT放送技術ジャーナリスト兼コンサルタント)


---ワンセグ・データ放送で特徴的な取り組みを教えて下さい。

写真1 「特命!刑事どん亀」のルーレットゲーム画面

 例えば,木曜21時からの「渡る世間は鬼ばかり」,木曜22時からの「弁護士のくず」(番組終了)や金曜22時からの「クロサギ」(番組終了)では,ドラマのあらすじやキャストをデータ放送で配信しています。さらに,プロデューサによる番組裏話を1次リンク・コンテンツとしてワンセグ視聴者だけに向けて提供しています。裏話やプロデューサ日記は特に告知をしていませんが,アクセス数が増大し人気を裏付けています。

 それ以外の“ドラマ連動”番組としては,月曜夜8時からのナショナル劇場50周年記念番組「特命!刑事どん亀」がありました。7月17日の番組最終回までプレゼントキャンペーンとしてゲームを提供しました(写真1)。

 これは,松下電器産業とワンセグで放送・携帯連携モデルを共同で試行する実験的なサービス(ニュースリリース参照)です。データ放送の1次リンク・コンテンツでルーレット・ゲームを提供しました。番組視聴中にゲームでコインを貯めると,本番ゲームとして「DONGAME SLOT」というスロット・ゲームに挑戦できます。DONGAME SLOTは松下電器産業の携帯サイトのコンテンツで,DVDレコーダーなどの絵柄が3つそろうと,その商品へのプレゼントに応募権がもらえます(図1)。


図1 「特命!刑事どん亀」ワンセグデータ放送連携サービス
[画像のクリックで拡大表示]
 このゲームは評判が高く,面白がってやってくれたようです。番組連動とはいうものの,内容自体はドラマとはまったく関係がありません。「なぜドラマのデータ放送でゲームなのか」という意見もあり,さらにゲームに夢中になって番組を見てもらえないのではないかという懸念もあります。さらに,松下電器産業の本番ゲームは2次リンクの携帯サイト・コンテンツなので,本番ゲームを楽しむときはテレビ画面が消えてしまいます。そこで,番組視聴中にコインが貯まって本番ゲームに参加する権利を得たとき,その場で2次リンクの携帯サイトへ行かなくても済むように,ゲーム・サイトのURLを端末に登録できる「テレビリンクボタン」を用意しています。

 ニュース系の番組では,例えば「News23」や「みのもんたのサタデーずばッと」通称「サタずば」では,新聞のテレビ欄にはない最新のネタを提供しています。音楽番組での連動型データ放送としては,土曜日夜12時55分から放送している「CDTV」があります。「CDTV」データ放送では,番組内で紹介しているランキングと携帯サイトで提供している過去のランキング情報や着メロ(TBSメロディ)への誘導リンクがあります(写真2)。

写真2 「CDTV」のワンセグデータ放送画面

 生番組については,社内でワンセグ放送を認知してもらうために,プロデューサやディレクタに説明しながら,対応を進めているところです。その中で,進んでいるのが土曜日9:30~14:00放送の情報バラエティ番組「王様のブランチ」です。

 「王様のブランチ」では,本や映画のランキング,レジャー,ショッピング,グルメ,女王様のお買い物など,各コーナーで紹介した情報を番組に連動させて提供しています。具体的には,放送中にデータ放送TOP画面のティッカーで各コーナーの紹介を行い,さらにティッカー下の番組バナーをクリックすると,詳細情報を見ることができます。また,1次リンク・コンテンツ(「第2回 ワンセグ放送のサービス・イメージ」の図3参照)として,データ放送では伝え切れなかった詳細情報を「王様のブランチ情報」として提供しています。

 バラエティーについては,番組ができあがるタイミングが放送直前のため,番組連動のデータ放送コンテンツを作る時間的余裕がないというのが現実です。とは言え需要は見込めますので,今後は代表的なバラエティ番組から対応できるようにしたいです。

--- ワンセグ放送に対する期待は?

 テレビを肌身離さずに持てるようになったことで,ビジネスにつながる“何か”があるのではないかと期待しています。

 しかし,ワンセグ放送は,現在音声サイマル放送(ワンセグの理解を深めるキーワード解説:「サイマル放送(サイマルキャスト))」参照)で,テレビ映像は地上デジタル放送と同じコンテンツを放送しなければなりません。下のデータ放送部分で何かをしようとすると,著作権やスポンサーの権利処理が非常に大変になります。サービスが始まったばかりの現時点では,ビジネスの話にはなりにくいのが実情です。

 今後,現在の約60万台から70万台と言われている端末出荷台数が,数千万台規模に増えていくと,ビジネス構造事態が変わってくると思っています。そうなれば,きちんと広告媒体としてワンセグを見てもらえるようになるでしょう。ワンセグ放送のデータ放送の存在を視聴者の皆さんに知ってもらうこと,それが第一の関門です。

 この状況は一方で追い風にもなります。現段階ならば「実験」と称してさまざまな手法にチャレンジできるわけです。ワンセグ放送は情報の同報に向いています。それに通信のメリットを加えて連携させることで,ワンセグ放送の魅力は格段に上がると思っています。そうなることにより,ワンセグ放送の関係各社がWin-Winの関係になれたら良いなと思っています。

--- 今後,ワンセグ放送を使い,どのようなビジネスを展開しようと考えていますか?

 放送と通信のメリットを生かし,ネットとモバイルが連携していくサービスを創り出したいです。例えば,携帯向け有料サイト「TBSニュース★芸能」では,毎週土曜日22時からの「ブロードキャスター」の人気コーナー「お父さんのためのワイドショー講座」が目玉コンテンツとなっています。こうした有料の携帯サイトとワンセグ・データ放送とで,どんな連携ができるかを考えています。

 番組と絡めたデータ放送コンテンツも提供したいと思っています。スポンサーや営業部隊と話をしながら,番組連動に向けての検討を進めています。今は,“実験”できる時期ですから,スポンサー連携などを含めていろいろなアイデアを具体化したいと考えています。

--- 今後の課題・問題点は何でしょうか?

 一つはデータ放送の見せ方や画面デザイン,ユーザー・インタフェースなどの工夫です。また基本的な事項として,ワンセグのデータ放送への認知をどう高めるかが課題でしょう。

 現在使用しているデータ放送テンプレートは,2006年末に全国の系列局がワンセグ放送を始めてから,デザイン変更などを考えたいと思っています。ワンセグ・データ放送の認知も積極的に進めます。8月2日のボクシング“亀田の世界戦”や,10月31日から開催する世界バレー,2007年8月開催の世界陸上大阪大会などのイベント系スポーツ番組で,ワンセグをアピールしたいと思っています。どうやって露出し視聴者にアピールするか,それが大きな課題です。

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