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KT BcN戦略部門・主任研究員のジョン・ビョンホ氏
写真1 KT BcN戦略部門・主任研究員のジョン・ビョンホ氏
(写真:皆木優子)

 世界に先駆け、2004年10月にFMCサービス「DU:」(その後「OnePhone」に改称)の提供を始めた韓国KT。同社は、BcN(Broadband Covergence Network)と名付けたNGNサービスを強力に推進中だ。今年6月15日には、済州島(韓国南東部)で、BcNによる市外電話の商用サービスもスタートしている。一足早くNGNの具体像を提示して見せた同社は、今後の展開をどう考えているのか。BcN戦略部門・主任研究員のジョン・ビョンホ氏(写真1)が解説する。

 韓国KTは、BcNサービスの展開を3段階に分けて実施する戦略を持っている。それぞれの段階ごとにテーマおよび課題を設け、そのクリアに向けて努力していく。各段階においては、それぞれ技術的なブレークスルーが必要になる。たとえば、公衆電話網をNGN網に統合するには、ソフトスイッチの開発が必須。こうした具体的な課題を解決し、段階を踏んでBcNサービスを拡充していくという(写真2)。

写真2 BcNのネットワーク構成[画像のクリックで拡大表示]
BcNのネットワーク構成

 すでに終盤に突入した第一段階(2004~2007年)のテーマは、「公衆電話網のマイグレーション」だ。前述した済州島でのサービス開始も、このテーマに沿ったもの。中継交換機をソフトスイッチに交換していくことで、既存の公衆電話網をBcNに置き換えていく。さらに、局用交換機のソフトスイッチへの置き換えや、BcN実現に欠かせないコントロール・プラットフォーム(セッション/アクセス/コネクションの各コントロールを担当する)の構築も同時並行で進行中だ。これらの作業は2010年をめどに完了する予定だという。

 今年から始まった第二段階(2006~2008年)のテーマは、「コミュニケーションの融合」。キーワードは「クアドラプル・プレイ・サービス」だ。これはトリプルプレイ・サービスに、移動体通信サービスを加えたもの。IPネットワークや公衆電話網、さらに携帯電話などの移動体通信までもすべてBcNに統合し、音声/データ、マルチメディアを統合した形でのコミュニケーション・ビジネスを展開する。FMCのパイオニアである「OnePhone」や、携帯電話向けのモバイル放送サービス「DMB(Digital Multimedia Broadcast)」など、すでに複数のサービスが始まっている。

 また、昨年10~11月の2カ月に渡り、BcNのパイロット・サービス「KT-BcN-Octave Consortium Project」を実施した。ソウルなどを中心に、FMCサービス、音声/データ統合サービス、IP-TVなどのマルチメディア・サービスなどを数百人規模のユーザーに提供。BcNの可能性を広く伝えるとともに、NGNが切り開くネットワークの未来像を具体的な形で提案している。第二段階の滑り出しは、順調のようだ。

 2008年以降に予定されている第三段階では、現在では“オフライン”、つまりネットワークに依存していないビジネス分野も、BcNのネットワーク内に取り込むことがテーマになっている。対象となるビジネス分野にはさまざまなものが考えられる。ジョン・ビョンホ氏は、特にターゲットとする分野として「医療、教育」などを挙げる。従来型のネットワークではなく、NGNを利用することではじめて、本当の意味で「ユーザー一人一人のニーズに応じた」ネットワークサービスが実現できると考えているのだ。

 以上のような段階を経て、韓国KTが考えるBcNサービスが実現する。同社が考えている最終的なサービスのイメージは「混雑した海辺ではなく、整然としたウォーターパーク」というもの。無料というメリットはあるが無秩序な現在のネットワークではなく、きちんと管理され、品質や安全性が保証されたネットワークへの移行を目指している。

(椿 浩和=ライター)