PR
日本テレコム 専務執行役員・CTOの弓削哲也氏
写真1 日本テレコム 専務執行役員・CTOの弓削哲也氏
(写真:皆木優子)

 「我々の考える次世代ネットワークは、いわゆる“NGN”とは異なるものだ。単に電話網をIP化するものとして語られているNGNという概念ではなく、さらに一歩先を行くものこそ、真の次世代ネットワークだと考えている」と、日本テレコムの専務執行役員・CTOである弓削哲也氏(写真1)は言う。

 日本テレコムは1998年に、キャリアとしては初めて「PRISM」と呼ぶ電話網のオールIP化構想を打ち出し、実現に努力してきた。現在注目を集めているNGNは、同社にとっては一つの通過点でしかない。弓削氏は、日本テレコムが考える次世代ネットワーク「IRIS(アイリス:ギリシア語で“虹”)」の構想を次のように語る。

 日本テレコムが次世代ネットワークの姿として提案する「IRIS」は、ICT(Information & Communication Technology)を実現する総合サービスという位置付けだ。これまでバラバラに提供されてきた基盤/サービスを統合するという意味ではITUなどが標準化しようとしているNGN(以下、ITU-NGNと略)と同じだが、統合の対象範囲はITU-NGNよりも広い。前者が基盤部分、つまりネットワーク層とプラットフォーム層に主眼を置いているのに対し、IRISではさらに上位層に当たるコンテンツ/アプリーションまで含めた形のサービスを考えているという。

 具体的には、IRISは三つの特徴を持つサービスとして構想されている。一つ目の特徴は「ITシステムのネットワーク機能化」だ。ITU-NGNはネットワーク基盤そのものの融合に力点を置いているが、IRISはネットワーク内にコンピューティング・パワーも統合することを目指す。従来、サーバーやソフトウエアで構築してきたシステムを、グリッド技術などの利用でネットワーク機能として提供。ユーザーが利用する端末はシンクライアント化でき、必要なときに必要なだけITシステムを利用できる環境を作り上げる。実はすでに日本テレコムではこの考えを具体化し、社内に導入しているという。

 二つ目の特徴は、「ネットワーク制御の自動化」だ。こちらもグリッド技術などを応用し、ユーザーからのオーダーに合わせて、ネットワーク全体の品質(帯域や優先順位など)を制御可能にする。こうすることで、ユーザーが使うアプリケーションに合わせて最適なネットワーク環境を選べるようになる。ユーザーの動向に合わせてネットワークの動きをカスタマイズできるわけだ。

 以上二つの特徴を生かすことによって、IRISは「SNC(Service & Network Convergence:サービスとネットワークの融合)の実現を目指す。さらに、ITU-NGNで重要視されている「FMC(Fixed Mobile Convergence:固定通信と移動体通信の統合)」に加え、独自の統合認証プラットフォーム(システム)を提供することによって、三つ目の特徴「シームレスなユビキタス環境」も実現する。

写真2 IRISは「ネットワークのコンシェルジュ」を目指す[画像のクリックで拡大表示]
IRISは「ネットワークのコンシェルジュ」を目指す

 こうした特徴を持つIRISが、最終的に目指す姿を端的に表現したのが「コンシェルジュ・ネットワーク(弓削氏による)」だ(写真2)。ホテルを訪れた顧客のあらゆるニーズを受け付け、そのスムーズな実現に努力し、最大の顧客満足度を確保する---。IRISは、このコンシェルジェと同じように働くものとして構想されている。IRISはソリューション・プランの作成や明確化、QoSによる快適なネットワークの提供、セキュリティの確保、シームレスな統合認証/課金など、ユーザーが求めるあらゆるものを提供できる基盤が用意される。

 ITU-NGNとは異なったスタンスで次世代構想に取り組む日本テレコム。「ソフトバンクグループのシナジー効果も生かしながら、新しいネットワーク・サービスのあり方を考え、ユーザーに最適のものを提供していく」と、弓削氏は結んだ。

(椿 浩和=ライター)