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 先週,「NTTコミュニケーションズが,お互いの電話番号を知らせずに電話をかけられるサービスを提供」という報道を目にした。報道では,2006年5月末にNTTコムがこのサービスを発表,このほど実際に稼働したとあった。サービスは,学校や塾のクラスで,保護者や教職員など,特定のメンバー同士で利用することを想定している。学校の同じクラス内なのに,電話番号を知らせない。考えさせられるサービスである。

 このサービスから,以前の取材での雑談を思い出した。雑談では,その方のお子さん関係の連絡網についての話が出た。取材相手曰く「ある会合で,連絡網が配られたんですが,電話番号が書いてなかったんですよ」。当然,会合の参加者から質問が出る。「あの~,電話番号は?」。すると,その連絡網グループの責任者は「あとで個別にお伝えします」と。

 個人情報保護に敏感な世の中になり,氏名と電話番号を記載したものを配布してはいけないという考えから,連絡網グループの責任者はこのような手段を採った。学校という規模では,個人情報保護法が規定する「個人情報取扱事業者」には当たらない。しかし,事業者でなくても,個人情報の取り扱いに気をつけなければならないのは間違いない。

 この話を聞いたとき,「そんな!」と驚く一方で,個人的には「気を回し過ぎ」とも思った。連絡網は,もともと連絡するためのもので,電話番号は不可欠。なにかの理由で,その“紙”が外部に漏れたとしてもやむを得ない。そこまで気にしていたら,キリがない。

 個人情報保護法が施行される前から,学校のクラス名簿がなくなっている。年賀状を出す場合,相手に直接(利用目的を伝え?)住所を聞く必要がある。また,子供のクラスメイトの家に電話をかける必要が生じたとき,電話番号がわからず苦労したことが何度かある。私が子供のときには,電話番号,住所はもちろん,ご丁寧に,保護者の勤務先まで記載したクラス名簿が配られていたものだが(いま,こんな名簿を配ったら大問題)。

 いまでも,連絡網の“紙”には,電話番号が記載されていることが多いようであるが,前述の例のように“電話番号は別途連絡”が当たり前になるかもしれない。

 もっとも,“別途連絡”でさえ,文部科学省のガイドラインからすると適当ではないことになる。文科省は,2004年11月11日に学校関連での個人情報の取り扱いに関するガイドライン「学校における生徒等に関する個人情報の適正な取扱いを確保するために事業者が講ずべき措置に関する指針」を公示。連絡網などについて,2006年1月に改訂している(改訂のポイントのPDF)。

 これによると,「生徒もしくは保護者に利用目的を伝え,同意を得たうえで,連絡網に電話番号などを掲載する」などとなっている。つまり,連絡網といえども,個人情報保護法の基本通りに処理をしなければならない,ということである。

 こういった煩わしさを見越したサービスが冒頭のNTTコムのサービスである。名前は「セキュア通話サービス by C2C」。なんか“堅い”名前で,ビジネス用という印象を受ける。実は,このサービスの裏でIP電話システムが動いている。同社が,2005年5月19日に発表したビジネス向けの「Click to Connect」(C2C)をベースにしている。

 C2Cは,主に携帯電話ユーザーを想定している。携帯電話の電話帳に取引先などの電話番号を保存しておかなくても,電話をかけられるようにし,携帯電話を紛失した場合の情報漏えいのリスクを抑えるというものである。あらかじめ,電話をかける相手,メンバーの電話番号をNTTコムのネットワーク上の電話帳に記録しておく。そして,携帯電話などのWebブラウザでネットワーク電話帳にアクセスして相手を選択すると,サーバーから発信者,着信者の両方に電話をかけて接続してくれるという仕組みである。相手先には,メンバーそれぞれに割り当てられた「050」で始まる専用のIP電話番号が発信番号として通知される。

 セキュア通話サービス by C2Cを利用するには,インターネットにアクセスするためのパソコンや携帯電話が必要。料金は,メンバーの数で異なるが,50番号までで月額1050円(200円分の無料通話含む)である。用途や頻度によるが,連絡網のためだけにこの料金は高い。とはいえ,連絡網に電話番号を記載できないとなると,このようなサービスも選択肢の一つとなる。

 それにしても,学校の連絡網は,いつまで電話中心を続けるのだろうか。電話による連絡網は,いわゆる伝言ゲームであり,全員に伝わるまで時間がかかるし,間違いも生じやすい。また,不在の場合は連絡を受け取れないし,ときにはそこで連絡網が滞ってしまう。gooリサーチによる『「学校と家庭とのコミュニケーション手段への意識」に関する調査結果』でも,この辺に対する問題意識が明確になっている。