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カスタマイズができるようにCOWの差分ファイルを設定

 COWは,基本的には対象となるファイル・システムと同等の領域を要求する。KNOPPIXでCOWを利用する場合は,約2Gバイトの領域が必要になるのだが,実際の差分ファイルは何もデータがない部分が大半を占め,実質的な差分保存用には数Mバイト程度しか消費しない。そのため,COWは何もデータのない領域を割愛して保存することで,記録デバイスの資源を節約するようになっている。この措置により,ls -lコマンドで表示される表面的な使用(見込み)容量は2Gバイトを超えるものの,実際はKNOPPIXが起動後に確保するRAMディスク上(筆者のテスト環境では,容量が200Mバイト程度)にCOWの差分ファイルを作成できる。


写真10 差分ファイルの保存先を指定
cowの差分ファイルの保存先とファイル名を指定する。保存先は,ホーム・ディレクトリなどknoppixユーザーが書き込み可能なところでなければならない。
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写真11 ホーム・ディレクトリの作成ユーティリティ
KDEメニューから[KNOPPIX]-[Configure]-[断続的なKNOPPIXホームディレクトリの作成]を選択すると,ホーム・ディレクトリをハード・ディスク上に確保するユーティリティが起動する。
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写真12 パーティションの使用方法の選択
「Yes」を選択するとパーティションをホーム・ディレクトリ専用として利用する。「No」を選択するとパーティション内にホーム・ディレクトリのイメージ・ファイルを作成する。
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 では,アプリケーションを追加インストールするなどのカスタマイズが可能になるよう,COWを利用してみよう。それには,まずUser Mode Linuxを起動する前に,ユーティリティ上にある「cow」項目にある[Select]ボタンをクリックして,差分を保存するファイルを指定する。例えば,RAMディスクを利用するには「/ramdisk/home/knoppix/test.cow」などと指定すればよい(写真10[表示])。COWの差分ファイルを設定した後は,前述の手続きによりUser Mode Linuxを起動する。

 User Mode Linux上で動作するKNOPPIXでは,アプリケーションの追加インストールなどのカスタマイズが可能だ。インストールには,Debianのdebパッケージを利用できる。KNOPPIXにはサンプルとしてkseg_0.4-1_i386.debパッケージが用意されている。このパッケージをインストールするには,KDEメニューから[KNOPPIX]-[Root Shell]を起動して,

と入力すればよい。

 また,サーバーからパッケージを入手してインストールするapt-getも利用可能だ。例えば,圧縮・伸張ツールのLHAをインストールしたい場合は,

と入力すればよい。

別のファイル・システムに差分ファイルを保存する

 COWの差分ファイルは,不要なデータを切り捨てることで,容量を抑えてある。しかし,アプリケーションなどをどんどん追加していけば,必然的に差分ファイルが大きくなり,最終的にはRAMディスクなどに収まらないサイズになってしまう。

 あらかじめ差分ファイルをハード・ディスクやファイル・サーバーなど,他のファイル・システム上に作成すれば,ファイル・サイズをさほど気にせずに利用可能だろう。

 ハード・ディスク上に作成する場合には,1つのパーティションをユーザーのホーム・ディレクトリとして割り当てる方法と既存のパーティション内にファイルとして保存する方法がある。KNOPPIXには,パーティションにホーム・ディレクトリを作成するユーティリティが付属している。

 まず,KDEメニューから[KNOPPIX]-[Configure]-[断続的なKNOPPIXホームディレクトリの作成]を選択する。これにより,ホーム・ディレクトリ作成用のユーティリティが起動する(写真11[表示])。以降は,ウィザードに従いながら対話的に設定作業を進める。骨子となる作業は,ホーム・ディレクトリとして利用するパーティションの指定と,パーティションの全領域を利用するかどうかの確認である(写真12[表示])。写真12で,[Yes]をクリックするとパーティションすべてをKNOPPIXで利用するようになる*2。パーティションがFATやext2/3といった,KNOPPIXから書き込みができるファイル・システムの場合は,パーティション全体をKNOPPIXが使うのではなく,パーティション内にホーム・ディレクトリ用のファイルを作成して利用することもできる。この場合は[No]を選択して,次にホーム・ディレクトリのサイズを指定すればよい。

 設定が完了したら,KNOPPIXを再起動する。ブート画面が表示されたら

と入力する。すると,先ほど作成したパーティションがホーム・ディレクトリとして利用できるようになる。後は,前述の要領で,COWの差分ファイルをホーム・ディレクトリ上に作成するよう設定すればよい。

 次に,ファイル・サーバーにCOWの差分ファイルを保存する手順を説明しよう。NFSなどを利用する方法もあるが,ここではWindows共有を利用する場合を取り上げる。

 まず,KDEメニューから[KNOPPIX]-[Root Shell]を起動する。接続するWindows共有サーバーのマシン名が「smbserver」,所属するワークグループが「smbgroup」,共有フォルダー名が「share」,接続可能なユーザー名が「smbuser」,パスワードが「smbpasswd」である場合には,以下のようにコマンドを実行する。

 接続先のマシン名(ここではsmbserver)には,IPアドレスを指定してもよい。

 マウントが完了したら,User Mode Linuxのユーティリティの「cow」項目に「/mnt/samba/test.cow」のように,Windows共有サーバーがマウントされているディレクトリを指定する。

 なお,ファイル・サーバーに差分ファイルを保存した場合は,KNOPPIXを再起動したたびにマウント作業を実施する必要がある。

他のシステムで差分ファイルを利用

 COWの差分ファイルを他のシステムで利用することも可能だ。

 作成した差分ファイルを他のKNOPPIXにコピーしたり,電子メールの添付ファイルとして送信するなどして渡す。それを受け取ったマシンで,Customizable KNOPPIXのCD-ROMを用いて起動した後にUser Mode Linuxの起動用ユーティリティを動作させ,「cow」の項目にコピーした差分ファイルを指定すればよい。

 差分ファイルを渡す際は,ファイル・サイズが2Gバイト超と大きいことに注意してほしい。電子メールの添付ファイルや,USBメモリーなどに収めるときは,gzipなどで圧縮するとよい。gzipでの圧縮は,例えばtest.cowという差分ファイルであれば,

と入力する。「test.cow.gz」ファイルが作成されるので,それを渡す。受け取ったマシン上では,

と入力して伸張すればよい。

 差分ファイルを指定した後にUser Mode Linuxを起動すると,カスタマイズされたKNOPPIXが利用できる。