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 コンピュータの世界では省電力への取り組みがいよいよ本格化しています。インテルは7月27日に新型CPU「Core 2 Duo」を発表しました。Core 2 DuoはPentium Dよりも演算性能が向上しているにもかかわらず,消費電力は50ワット近く減っています(関連記事「インテルがCore 2 Duoの優位性を力説」)。

 他方,記者は7月末日,NECの府中事業所を訪ね,水冷式コンピュータについて取材しました。水冷式コンピュータとはCPUが発する熱を循環水でラジエータ(冷却装置)まで運び,そこで熱を発散させる機構を持つものです。水冷式であれば騒音の原因となるCPUファンを無くせるので,稼動音が35デシベル以下といった静かなコンピュータを実現できます。

 このようにコンピュータのハードウエアの分野では省電力化や静音化が進みつつあります。省電力と静音は密接な関係にあり,電力消費が少なければ,発熱も少なく,静音化も容易で,それは環境にも優しい,ということになります。

 一方,ソフトウエアの分野に眼を向けると,そのような取り組みがあまりないようです。

 ソフトウエアが効率的なコード(機械語)で構成されていれば,CPUの使用率を抑えられ,省電力と静音と環境保護につながるでしょう。もちろん「演算量の少ないアルゴリズムを採用する」「最適化性能の良いコンパイラを使う」といった実装面の工夫は,それが省電力などを意識している場合は少ないのでしょうが,昔から行われていることです。

 となると,重要なのは省電力や静音や環境保護を意識したソフトウエア設計ではないでしょうか。例えば,最近の一部のパソコン用アプリケーションはGUIを凝りすぎ,そのせいでコンピュータ・リソースを大量に消費します。記者のパソコンではある派手な装飾が施されたアプリケーションを起動すると,いつもCPUファンが高速回転し始めます。高速回転すると「ウィーン」という不快なノイズを発するのですぐにわかります。

 GUIの見栄えは重要とはいえユーザーにとって必須の要素とは言えないでしょう。半透明や3次元コンピュータ・グラフィックスを多用したGUIのアニメーションが多数のユーザーにとって本当に必要なのかはやや疑問です。特に仕事でパソコンを使うユーザーにとってはシンプルなGUIで十分なはずです。

 GUIの処理でCPUやGPU,メモリー,ハードディスクなどは少なからずの電力を消費していると思います。こうしたことを考えると,GUIを凝りすぎない“無印良品”のようなアプリケーションがあっても良いのではないでしょうか。もしくは,GUIに「省電力モード」「静音モード」「環境に優しいモード」「ロハス・モード」などを用意し,シンプルなデザインを選択できるオプションをユーザーに与えてほしいと思います。GUIだけではなく,中間言語の実行環境やWebブラウザ上で動作するアプリケーションが増え過ぎるのも,省電力や静音,環境の観点からは問題ではないでしょうか。

 少ないコンピュータ資源でも快適に動作し,シンプルでセンスの良いGUIを持ち,CPU上でネイティブで動く。このような省電力で静かで環境に優しいソフトウエアの設計指針があれば良いと思う,暑い夏の一日です。


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