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仏アルカテルのアレックス・ジニンIP事業部主席エンジニア
仏アルカテルのアレックス・ジニンIP事業部主席エンジニア
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 世界各国の通信事業者がNGN(次世代ネットワーク)の導入に本腰だ。日本ではNTTグループが,今年12月から展開するNGNトライアルに向けてインタフェースを公開したばかり。総額5兆円と言われるNGNへの巨額投資を,世界各国のメーカーが虎視眈々と狙っている。仏アルカテルも,そのうちの1社だ。同社は米AT&T(旧SBCコミュニケーションズ)のトリプルプレイ用の統合IP網を全面的に担った実績を持つ。NGN向けの製品戦略について,アレックス・ジニンIP事業部主席エンジニアに聞いた。(聞き手は山根 小雪=日経コミュニケーション

--NGNの中核技術は何か。

 一口にNGNと言っても,導入のきっかけは通信事業者によって様々だ。代表的なのは固定電話網のIP化だが,トリプルプレイ・サービスの提供を目的とする場合もあれば,複数ネットワークの統合を目指している場合もある。

 共通しているのは,通信プロトコルとしてIP,さらには「MPLS」(multiprotocol label switching)を使うこと。NGNには,電話はもちろん,企業向けサービスや放送サービスなど,多くのサービスを安定して提供できるだけのキャパシティや信頼性が不可欠。こうした要求に応えられるのは,MPLSしかない。

 MPLSは,トラフィック・エンジニアリングを実現しやすいうえ,耐障害性機能が豊富。MPLS上にATM(非同期転送モード)やフレーム・リレーといった既存のサービスを乗せることができるから,財務的な優位性もある。MPLSのエキスパートさえいれば,ネットワークを運用できるという人材面でのメリットも大きい。

--ITU(国際電気通信連合)で進行中のNGNの標準化活動では,複数の伝送技術が選択できるようになっているが。

 確かにそうだが,実質的にはMPLS以外の選択肢はないと考えている。もちろんIPよりも下のレイヤーでは何を使ってもいい。SONET/SDHでもいいし,GMPLS(generalized multiprotocol label switching)でもいい。

--アルカテルのNGNに向けた戦略は?
 通信事業者がNGNに照準を合わせたのを受けて,当社も戦略をシフトして来た。特に,アクセス回線を収容するエッジ・ルーターの開発に力を入れている。エッジ・ルーター・ベンダーの米タイメトラを買収したのもNGN戦略の一環だ。

 NGN向けの機器には,信頼性,QoS(quality of service),運用性,スケーラビリティ,パフォーマンスなどの向上に努めてきた。特に信頼性は当社の得意分野だ。装置のコントロール・プレーンに障害が発生しても,パケット転送には影響が及ばない「ノンストップ・ルーティング」を実装している。この技術は,アルカテルが世界に先駆けて取り組んだ。

 当社を含めた通信機器メーカーは,NGNを意識して,これまで以上にスケーラビリティの向上に力を入れている。固定電話を利用していたユーザーがNGNに移行すると考えれば,数百万,数千万というユーザーがNGNに乗ってくる。NGNでは,信頼性や安定性以上に,スケーラビリティの重要性が増す。

--日本市場への戦略は?

 日本の通信事業者の品質に対する高い要望に応えていきたい。当社は,単なる“箱売り”はやらない方針。NGNは非常に複雑で,数千もの要素を含んでいる。既存のサービスに影響を与えないように,着実に展開していかなければならない。製品知識や技術力だけでなく,プロジェクト管理能力も不可欠だと考えている。顧客と密接なやり取りをしながら,コンサルティングを実施し,アーキテクチャの決定や試験も一緒にやっていきたい。

 また私自身,10月1日付でアジア・パシフィック担当のCTOに就任する。これも日本市場に向けたNGN戦略の一つだ。