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 通信事業者が060番号を歓迎できない事情は,電話の仕組みを考えると一層よく分かる。どの事業者も明言はしないが,問題の根は交換機の保守コストや,他の事業者との相互接続にありそうだ。

 現在,日本でよく使われている電話番号には,03などの0AB~J,IP電話の050,PHSの070,携帯電話の080と090がある。このうち特殊なのが0AB~J。全国を結ぶ電話の中継網を効率よく利用できるように,「市外局番」として地域別に割り当てられている。例えば東京(03)から横浜(045)に電話をかける場合,加入者を収容する交換機は最初の0を識別して,中継交換機に呼を転送。中継交換機は45を識別して横浜の中継交換機につなぐようになっている。

 これに対して050や090など「0A0」と呼ばれる番号は,どれも地理的な意味を持たない。主な役割はサービスの識別子である。それぞれの電話網の中継交換機は,この識別子と,それに続く事業者番号(IP電話の場合は4けた,PHS/携帯電話の場合は3けた)から転送先の網を判断する()。それぞれの網につなぐまでの仕組みは0AB~Jとほとんど同じだ。携帯電話の場合は,ユーザーの位置情報を参照し,その都度あて先の中継交換機が変わる仕組みになっている。

 では,FMCになるとどうなるか。

 060-CDEF-○○○○という番号に発信する場合,固定電話の中継交換機が,060とその次に来るCDEFから事業者の網を識別し,転送する。この仕組みは他の0A0番号と同じである。問題は,この060番号が他の通信事業者の交換機にも登録・設定されていなければならないこと。当然,各事業者に手間とコストがかかる。060が普及しているか,他社が一斉に060を導入するといった状況でなければ,各事業者による対応は難しそうだ。他事業者が対応せず接続先が限られると,サービスとしては魅力を欠いてしまう。

 同じ仕組みを050番号で実現する場合は,他事業者の中継交換機は現状のままで構わない。基本的には,FMCサービスを提供するそれぞれの事業者が,自社の中継交換機に転送の設定を施せば済む。

 事業者にとっての問題は,交換機に関わる部分だけではない。060を利用するとなると,ほかにも手間とコストがかかる部分がある。顧客への説明や,新番号のプロモーションだ。FMCサービスは,そもそも収益源になるのかどうか不透明。トラフィックが増えなければ現状と収益は変わらない。そのためにやみくもにコストをかけることは,事業者としてはどうあっても避けたいはずだ。