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 インターネットが企業や家庭に普及するにつれ、ネットを通じて感染するコンピュータウイルスが猛威をふるうようになっています。ファイル交換ソフト「Winny(ウィニー)」を媒介にして、個人情報などの流出を促すウイルスによる被害も相次いでいます。

 広義のウイルスのうち、感染したパソコンを外部から操作できる状態にするものを、特に「ボット」と呼びます。パソコンを「ロボット」のように操れることからこの名が付きました。Winnyのウイルスなどに比べれば一見地味ですが、確実にネット社会をむしばんでおり、注意が必要です。

◆影響
14万台が感染


 警察庁の調べによると、ボットに感染したコンピュータは、2005年1~6月に国内で14万4512台が確認されています。警察の監視をかいくぐるボットも増えており、実際にはこれを上回る勢いで広まっているようです。

 ボットに感染したパソコンは、悪意の第三者がインターネット経由で出す指令によって、任意に操作できる状態になります。例えば、ネットでつながった数万台のパソコン群(「ボットネット」と呼ぶ)に「A社のサイトにアクセスせよ」という指令を出せば、A社には数万回のアクセスが殺到し、機能不全に陥ってしまいます。「迷惑メールを発信せよ」「個人情報や新製品図面などの機密ファイルを転送せよ」といった指令もあるようです。

 このように、ボットに感染すると、知らないうちに犯罪に加担することになってしまいます。ボットは電子メールの添付ファイルとして送り込まれたり、OS(基本ソフト)のセキュリティーの欠陥を突いたりして、利用者が気づかないうちにパソコンに組み込まれてしまいます。不用意に添付ファイルを開かない、OSは常に更新して最新の状態にしておく、といった基本的な対策が重要です。

◆事例
国家事業で撲滅へ

 民間のウイルス対策ソフト会社もボット対策機能拡充に乗り出していますが、次々と新種が現れるため、対応が追いつかないようです。従来のウイルスに比べ、1種類当たりの感染台数は少なく、民間事業としては採算が合いにくい面もあります。

 そこで、ついに政府がボット対策に乗り出しました。総務省と経済産業省は共同で、今年4月から「ボット対策推進事業」を始めました。インターネット上におとり用パソコンを設置し、ボットの通信パターンを解析。インターネット・サービス・プロバイダー(ISP)はこの解析情報を使い、ボットに感染した利用者を見つけて警告します。ボット駆除ツールの配布も実施します。