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 IAサーバー(x86サーバー)のベンダーシェアには,近年大きな動きがある。

 従来,この分野はNECの独壇場である。NEC以外のベンダーでは,富士通や日本IBMが基幹系システム中心にシェアを確保しており,部門サーバーやアプライアンス系の追加・新規導入ではデル,日本ヒューレット・パッカード(日本HP)の攻勢が近年続いている。2位以下のベンダーシェアは混沌としており,住み分けというより陣取り合戦の様相を呈している。


ベンダーシェアはNECが3年連続トップ,2位富士通がシェア伸ばす

 NECの強さの要因は,オフコン時代から中堅・中小企業に対して展開してきた全国のチャネル(代理店)販売である。チャネルによる顧客へのソリューション提案が,シェアを確保する上で功を奏していることは周知の通り。特に大塚商会に代表されるスーパーチャネルの存在は大きい。富士通のIAサーバーも,NECと同じようにオフコン市場からの展開だが,中堅・中小企業といってもNECに比べ若干規模の大きな市場に注力している。その点では日本IBMと似ている。

 設置ベースのベンダーシェアで,上位5社は相変わらずだ(図1)。NECは23.0%と,ここ3年トップを維持している。2番手は富士通で20.7%で,前年よりシェアを高めている。3位以下では日本IBMが17.8%で漸減。一方,ここ数年着実にシェアを高めていたデルは13.9%。ここも前年からの漸減で,若干勢いが止まったようにも見える。ただし,基幹系システム周りのサーバーでデルが10%台半ばまでシェアを高めるとは,かつては誰も予想できなかったはずだ。

図1●設置ベースのベンダーシェア(nは調査対象企業のサーバー総数)

 日本HPは一時期,コンパックの吸収合併などで,ほとんどまともに市場攻略できない時期があった。そのことを考えると,現在の12.2%は評価できる。合併後の仕込みがようやく終わり,これから着実にシェアを高めていくだろう。

 今後の中堅・中小企業のサーバー市場は,これら上位5社に絞られた形で展開していくことになる。しかもNEC,富士通,日本IBM3社のシェアは極めて接近している。これら3社に,デル,HPを合わせた5社は,今後もしのぎを削りながら競合していくことになる。

 次に述べる今後の導入予定シェアは,そのことを裏付けている。


導入予定サーバーのシェアは上位4社が20%台

 今後の導入予定サーバーは,1位のNECが27.5%,2位の富士通が27.1%とほぼ横並び。次いで日本IBMが21.0%,デルが20.2%と競っている。つまり,導入予定サーバーのシェアは上位4社が20%台で,5番目の日本HPも15.7%に付けている。

図2●導入予定サーバーのベンダーシェア(nは有効回答数)

 NECは年商規模に関係なく,満遍なく強い傾向がある。中堅・中小企業の中でも,特に年商規模の小さい企業に強みを持つ。デルも年商10億円未満の企業に支持されている。これに対し日本IBMや富士通は,年商規模が大きい企業に強い傾向がある。

 デルは形式的には100%直販の体裁をとっているが,実質的にはシステム・インテグレータがデル製品の「ユーザー」となって,エンドユーザーに販売するケースが目立つ。以前の連載でも触れたように,IAサーバーのハードウエアによる差別化は難しい。現状では,ユーザー企業が「デル製品のコストパフォーマンス」を魅力に感じて,システム・インテグレータに名指しで扱わせる,あるいは開発力のあるユーザー企業が自社開発する場合に,デルや日本HPのサーバーを直接購入するケースが目立って増えているのが特徴だ。

 今後のサーバーメーカのシェア獲得の目玉はなにか? 特効薬はないが,基本的には販売力と製品のバリエーション,サービス/サポート力,そして品質・納期を含めたサプライチェーンの力がポイントになるだろう。価格については,ほとんど差が無いといっていい。

 それにしても上位5社の力は拮抗しつつある。その中で,NECが総合力でまだ若干勝っているのは衆目の一致するところだが。

 次回はサーバーの導入プロセスについて取り上げたい。

 なお,調査の概要をご覧になりたい場合は,第1回をご参照下さい。

■伊嶋 謙二 (いしま けんじ)

【略歴】
ノーク・リサーチ代表。矢野経済研究所を経て1998年に独立し,ノーク・リサーチを設立。IT市場に特化した調査,コンサルティングを展開。特に中堅・中小企業市場の分析を得意とする。