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 携帯電話の番号を変えずに契約事業者を変更できる「番号ポータビリティ」のサービスが始まる10月24日まであと2カ月。auは9月1日から先行受付を始めるなど,徐々に盛り上がりつつある。

 長期割引は捨てがたいが,端末を最新モデルに変更しようとすると数万円もかかってしまう。ところが,番号ポータビリティ・サービスを利用すれば事業者とは新規契約になるので,1円端末のように安価に電話機を入手できる。転出時手数料(au/ツーカーから他社へ移行する場合は2100円)や契約事務手数料を支払っても,機種変更にかかる費用より安上がりだったりする。というわけで,私自身もこのサービスを利用して事業者を乗り換えようかと思案中だ。読者の皆さんの中にも,私と似た考えの人がいるだろう。

 ただ,ここまでの持論は,個人ユーザーに的を絞った見方である。企業ユーザーにとっては,番号ポータビリティよりも,この秋以降に本格化する見込みのMVNO(mobile virtual network operator:仮想移動通信事業者)の動向の方が気になってくるはずだ。

 MVNOとは,自社では無線設備を持たずに設備を借りてモバイル・サービスを提供する事業者のこと。これまでも,セコムの「ココセコム」やトヨタ自動車の「G-BOOK」のような専用サービスのほか,日本通信の「bモバイル」のようなデータ通信サービスが出ている。

 特にbモバイルはウィルコムのネットワークに,日本通信のデータセンターを専用線でつないで,ユーザー認証や課金情報を日本通信が管理するので,ユーザーはウィルコムと契約する必要がなく,データ通信が一定時間使い放題である。また,京セラコミュニケーションシステム(KCCS)や富士通もウィルコムのネットワークを借りて企業向けデータ通信サービスを提供している。

 だが,今のところデータ通信サービスを提供するためにネットワークを貸し出しているのはPHS事業者のウィルコムだけで,携帯電話事業者は皆無である(KDDIは専用サービスであるココセコムとG-BOOKのためにはネットワークを貸し出している)。

 MVNOにあまり積極的ではない携帯電話事業者だが,この秋には総務省がMVNOを推進するためにガイドラインを固まる見通しだ。そうなると,無線設備を持たずとも,既存事業者の設備を借りてモバイル・サービスを提供する事業者が増えるはず。

 その結果,携帯電話事業はそろそろ頭打ちになってきた音声通話を中核とした競争から,データ通信も視野に入れた高付加価値サービスの提供競争へと移るだろう。総務省情報通信審議会電気通信事業部会専門委員を務める,甲南大学 経済学部・教授の佐藤 治正氏はこの変革を,「ネットワークの上位・下位レイヤーとの協働的ビジネス・モデルの出現」と位置付け,通信事業者は水平的競争から垂直的な競争へと視点を広げるという。

 その佐藤氏が9月5日大阪で「IPコミュニケーション時代の競争政策---ネットワーク・市場・競争フレームワークの変革」と題してITproフォーラムの基調講演(詳細情報)を予定している。そこでは,総務省「大臣懇談会(通称)」と「IP時代の競争政策懇談会(通称)」における議論を紹介し,今後の通信市場と,変革する通信ビジネスの行方が論じられる。ぜひ,ご参加下さい。