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 ここ3カ月ほどで,電子政府/電子自治体関連の大きな政策が立て続けに策定・公表された。「次世代ブロードバンド戦略2010」(総務省,8月11日),「電子自治体オンライン利用促進指針」(総務省,7月28日),「重点計画-2006」(IT戦略本部,7月26日),「セキュア・ジャパン2006」(情報セキュリティ政策会議,6月15日)である。

 それぞれの政策策定に際しては,事前に案の段階で公表し,広く一般から意見を募集している。一般的に「パブリックコメント」と呼ばれる制度で,行政手続法に則った手続きである(関連解説)。それぞれの政策が掲載されているサイトには,寄せられたパブリックコメント(意見)の概要と,それに対する行政機関側の考えが一覧表の形で公開されている。

 しかし,残念ながら,寄せられた意見はほとんど採用されていないと言っていい。採用されているのは文章表現など枝葉末節の部分がほとんどだ。もちろん,「細部に神宿る」という言葉もある通り,枝葉末節もまた重要であることは承知しているつもりだが,これでは意見を寄せる意欲も減退してしまうのではないだろうか。

 意見が採用されなかった理由はいろいろあるだろう。しかし,それぞれの政策に関心を持った人や組織からの意見・提案のほとんどが的外れで採用するに値しなかったとは思えない。根本的な問題は,意見を吸い上げたうえで政策案に修正を加えるための十分な時間を取っていないことだ。

 上記政策のパブリックコメントの締め切り日と策定・公表日を見てみよう。例えば,「次世代ブロードバンド戦略2010」は7月27日に意見募集を締め切り,わずか半月後の8月11日に戦略を策定・公表している。他の政策も同様だ。「電子自治体オンライン利用促進指針」(締め切り7月19日・策定7月28日),「重点計画-2006」(締め切り6月30日・策定7月26日),「セキュア・ジャパン2006」(締め切り5月26日・策定6月15日)といった具合だ。いずれも意見募集の締め切りから政策の策定まで1カ月も満たない期間しかとっていない。

 わずか15~25日程度で,寄せられた意見を集約し,それをきちんと議論したうえで反映させるべき点を反映させることができるだろうか? 特に,建設的かつ,抜本的な変更を伴うような意見がきた場合,きちんと議論して軌道修正ができるだろうか? そうした時間がとれるスケジューリングとは言い難い,と私には思える。

 そこで提案したい。まず,政策案を“中間報告”くらいの早い段階で公表し,意見を求めるべきだ。さらに,より広く意見を求めるために,例えばblogの活用なども考えられるのではないだろうか。

 つまり,政策案を章や節ごとに分けて,各章や節をblogの個別エントリーとして公表するのである。そうすれば,それぞれの章や節ごとにコメントやトラックバックをつけることができる。従来の意見募集の方法に加え,こうした新しい意見募集の方法を併用すれば,今よりはるかに多くの意見が寄せられるのではないだろうか。

 その後,行政側は寄せられた意見をまとめフィードバックをすることになるわけだが,そのフィードバックにも,個別にコメントとトラックバックを付けられる形で公開するのである。こうすれば,行政機関側からのフィードバックの“本気度”も格段に違ってくるだろう。

 IT新改革戦略のキャッチフレーズは「いつでも,どこでも,誰でもITの恩恵を実感できる社会の実現」である。上記のような形でblogを活用する方法を採用するかどうかはともかく,まずは電子政府/電子自治体関連の政策についての意見募集から,「電子」の名にふさわしくITを活用して,いつでも,どこでも,誰でもが意見を寄せやすい環境をつくり,それを生かす体制を考えてほしい。