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グループの“世界大会”に進出


名古屋カスタマーサービスセンター長の鈴木昌子氏
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●クレジットカードの即時発行業務のカイゼン例
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●「見える化」などトヨタ流カイゼンを継続的に実施するトヨタファイナンスの「名古屋カスタマーサービスセンター」での改善例
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 カイゼン施策を活性化させる仕掛けとして、親会社のTFSが主催する世界大会「Global Kaizen Award」がある。TFSグループ各社の優秀なカイゼン事例を表彰する。

 トヨタファイナンスでの予選を通過し、2005年度の Awardに進出した事例は、車の購入と同時にカードを即時発行して決済する業務の効率化だ。自動車販売店からファクスで送られてくるカード申込書の口座情報と契約情報をパソコンに入力し、その正誤確認をする時間を短くした。この業務は月4万件以上あり、1日二十数人で対応していた。

 業務改善に当たり、まず事務局に依頼して、担当者一人ひとりの1日の行動を1分単位で測定した。「入力・確認」「資料作成」「会議」「休憩」「手待ち」「(申込書の)運搬」に分類し、グラフ化。「入力・確認」に74%の時間を、「運搬」に10%を割いていた。この作業は、問題がどこにあるのかを現場で確認する「現地現物」という考え方に基づく。

 トヨタ流のカイゼンには、「作りすぎや運搬など7つのムダをなくす」という発想もある。「運搬」は、お客様から見たら何の付加価値もない。こうしたムダをなくすためにチームで知恵を絞る。ロジカルツリーを描きながら「なぜを何度も繰り返す」ことで、業務に時間がかかりすぎる真因を複数導き出していった。

 その結果、上司に処理の進ちょくを伝える仕組みが効率的でない、業務が3回中断される、など真因を4つに特定できた。解決策として、進ちょく管理ボードの設置と、業務フローの見直しを考え出した。前者はいわゆる「見える化」だ。ボードで進ちょく状況がひと目で分かるようにすることで、1つの作業工程を終えるたびに上長の席まで書類を運搬せず、次の工程を担当する人に直接手渡せるようになる。

 業務フローは「口座情報入力→正誤確認→契約情報入力→正誤確認」から「口座・契約情報入力→正誤確認」に変更し、工程間の中断を1回に減らした。さらに、口座・契約情報入力に180秒、正誤確認に90秒という標準作業時間を決め、前工程に4人、後工程に2人を配した。2つの工程に費やす時間を「同期」させて、手待ちを起こりにくくしたのだ。

 結局、1日に1人が費やす運搬時間、1件の処理時間、1日に1人が処理できる件数が、それぞれ48分から12分、361秒から282秒、75件から88.5件になり、お客様に早くカードを発行できるようになった。試算上は、人件費も月544万円から463万円弱に減らせたのである。

小さな積み重ねを愚直に続ける


●トヨタファイナンスによる「トヨタ流カイゼン」定着のポイント
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 お客様窓口である「名古屋カスタマーサービスセンター」でも、効果の大きいカイゼン事例がある。カード契約数がこの3年で3倍になったものの、電話オペレーターの数は2002年10月の約340人をピークに、310~320人程度まで抑制できているのだ。パンフレットの内容を分かりやすくしたり、音声応答装置を効果的に使うなどの工夫をして、本来はオペレーターにつなぐ必要のない電話を無くしてきたおかげである。

 センターにはほかにも数多くのカイゼンや創意工夫の跡がある。例えば、その日の予想コール数など全体の作業負荷を一覧できるボード、オペレーターが今どんな種別のカード会員と電話しているかを見える化した仕組みなどがある(写真参照)。

 鈴木昌子センター長は、「改善は小さなところから始める。すごく単純に見えるものもあるけれど、こういうところから愚直にやっていくから、きちんと成果が出る」という。

 しかし、一般には小さな改善を愚直に継続するのは容易ではない。トヨタファイナンスが活動を愚直に継続できる大きな理由を、自身も転職者である中村部長はこう分析する。「トヨタ・グループは、他社では『そのくらいやって当たり前』だと言われて終わることでも、そうならない。身の回りのちょっとした改善が高く評価され、『どんどん続けなさい』となる。積極的に横展開して全社で共有する。特にトップがそうした意識を強く持ち、そういう発言を頻繁にする。だから、社員は新たな改善に挑もうという気持ちになる」。カイゼンは、単なるボトムアップだけでは成り立たないのである。