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IDC Japan ITサービス シニアマーケットアナリスト 松本 聡 氏 松本 聡 氏

IDC Japan ITサービス シニアマーケットアナリスト
ITサービス市場に関してセグメント、産業分野別市場予測や、ベンダー競合分析を行う。BPO、ユーティリティコンピューティング、データセンターサービスなどの調査も担当。

 日本市場におけるパッケージアプリケーションの導入率は米国などと比較すると低い。また、パッケージアプリケーションを利用する場合でも、業務に合わせアドオン開発を行う企業が多い。これは、日本企業は長い年月をかけ業務プロセスを確立し、そのプロセスを維持しながらIT化を図ってきたことに要因がある。

 一方、急激な技術革新や市場環境変化の前では、過去に最適化した業務プロセスには弊害も見られる。近年、企業のIT投資には、「投資対効果の向上」「内部統制の実現」「迅速なシステム構築」が求められている。これらの目的を達成する上で、SOA(サービス指向アーキテクチャ)を活用したパッケージアプリケーションの導入は有効な手段の一つである。

 SOAをベースとしたパッケージアプリケーションの導入は、市場をどう変えていくのだろうか。SOAは、業務プロセスを一定の業務機能部品(サービス)として扱い、サービスを組み合わせることによって、システム構築、拡充、連携を実現することを特徴としている。システム構築は、電子ブロックのように明確化された部品をインフラの上で適切に配置していくことで行う。従って、一定のルールに則れば、個別に開発したアプリケーション部品を活用し、様々な機能を持つ柔軟性の高いシステム構築が可能である。

 しかし、SOAをベースとしたパッケージアプリケーションの導入にも、アプリケーション機能の粒度という課題がある。アプリケーション機能の粒度が大きければ、外部インタフェースを強化したこれまでのパッケージソフトウエアとあまり変わらなくなってしまう。部品の再利用性や仕様の柔軟性は低く、SOAの利点は少ない。

アプリケーションの粒度は小さく

 SOAの特徴を生かすためにはアプリケーション機能の粒度を小さくし、部品の再利用性、システムの柔軟性を高くする必要がある。しかし、部品の粒度が小さいと、「組み立て」が難しくなる。SOA時代においては、アプリケーション機能は最終完成品や、定型部品を組み立てるプラモデルではない。機能が明確化された電子ブロックであり、目的の機能を達成するための設計図や、部品の入手性、組み立てやすさが重要になる。

 また、電子ブロックと同様、設計図がなくとも設計の能力を持ち、目的物の内容を理解していれば、組み立てることが可能である。ただ設計図の有無により、組み立てに必要な能力や時間、システム性能が異なることには留意する必要がある。

 SOAをベースとしたパッケージアプリケーション普及には、アプリケーション機能の細分化と顧客業務を反映したテンプレート開発、容易なシステム構築手法の発展が重要となる。

 今日、SOAをキーワードとして、ソフトウエアベンダーとITサービスベンダーの連携強化が見られ、インフラの共通化やテンプレート開発が行われている。現時点では、ベンダー論理による製品・サービス開発が目につき、やや顧客視点に欠ける懸念もある。

 しかし、黎明期には、先に進むことが重要だ。今後、顧客の声に耳を傾け、押し売りにならない製品の提供が始まれば、SOAベースのパッケージアプリケーションは急速に普及するであろう。