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 「意識が遅れている中堅・中小企業ほど、実はシステム導入に成功しやすい」「中堅・中小企業の経営トップも、内部統制の動向には大いに興味あり」「基幹業務システムの更新はためらっても、Webシステムには喜んでカネを出す」──。これまで「商談規模が小さい割に手間ばかりかかって儲からない」と思われた中堅・中小企業(SMB)市場。だが、そんな常識が変わろうとしている。売上高が50億~500億円といった企業も、実はソリューションプロバイダが提案する内容やアプローチ次第で開拓できるからだ。そこで今回の特集ではSMB攻略の新たな視点を、7つの新常識として取り上げた。これらはSMBだけでなく大手ユーザーの提案にも応用できるかもしれない。



 多くのソリューションプロバイダが注目している中堅・中小企業(SMB)の市場。だが実際の開拓となると、苦労するケースが少なくない。特に売上高が50億~100億円前後の中堅・中小ユーザーの商談は、1件当たりの規模が数千万円と大手ユーザーの場合より小さいにもかかわらず、「手間ばかりかかり儲からない」という結論になりがちだ。

 ところが、そうした市場でも実は提案する内容やアプローチ次第では、開拓できるのである。今までの常識とは別の角度から見直せば、中堅・中小ユーザーでもIT投資を促進できるからである。

 これらの新たな視点を今回の特集では「7つの新常識」として取り上げた。既に一部のソリューションプロバイダが中堅・中小ユーザーへの商談で活用しているノウハウであり、実際の経験に基づいているだけに現場ですぐに役立つだろう。

1 経営戦略から入らない

 例えば、「中堅・中小企業でも最初に経営戦略をしっかりと定めた上でIT化を推進すべき」というのが、これまでの常識の1つだろう。それぞれの強みや弱みを分析し、進むべき方向を見極めてからシステムを開発しなければ、軸がぶれてしまって無駄なIT投資に陥るというわけだ。

 「確かに経営戦略は重要だが、そこから入ろうとすると話が先に進まなくなる。特に中堅・中小ユーザーにはIT化に懐疑的な経営トップも多く、なかなかIT投資をしたがらない。そのため、まずは局所的でもいいからIT化の効果を出しやすい部分にシステムを導入し、IT化の重要性を認識させることからスタートすべきだろう。経営戦略は、不明確なままでも構わない」。こう語るのは、ITコーディネータでもあるSKサポートサービスの坂下知司社長だ。まずは小規模なシステムで効果を示し、その上で改めて経営戦略を固めてIT化を推進した方が、最終的にスムーズに行くという。

 これまで坂下社長はITコーディネータとして様々なIT化に臨んできた。「だが、いくら経営戦略の話をしても“お話はその通りだがカネができたらIT化しますよ”と言われて終わってしまう。何度も壁にぶち当たった」と語る。

 坂下社長は、スキーや温泉で有名な新潟県湯沢町の温泉旅館商業共同組合のIT化を手掛けたことがあった。このとき、大きな改革ではなくとりあえずネット予約システムの導入から開始した。ASP(アプリケーション・サービス・プロバイダ)方式で、各旅館が共同利用できるようにした結果、安いIT投資で毎月、数百万円の売り上げを達成できたのだ。そうなると旅館側の意欲も変わる。魅力ある町づくりに向けて、顧客データベースを整備・活用しようというIT化の第2ステップが始まったのである。

2 内部統制こそIT化の好機

 2番目の新常識は、「中堅・中小ユーザーは内部統制の強化にも強い関心がある」ということだ。もちろん上場企業の関連会社、株式公開を控えた企業には必須だろうが、そうではない独立した企業でもコンプライアンスの視点で内部統制の強化が重要になってくるのである。実際、以前からISO 9000/14000や個人情報保護法の施行などがあり、取引先や金融機関など外部から信用を得るために、中堅・中小企業も対応せざるを得なかった。「その延長で今後、中堅・中小企業も内部統制でも何らかの対応が求められることは間違いない」と、多くのソリューションプロバイダやコンサルタントが指摘している。

 ただし現段階で、ソリューションプロバイダがコンプライアンスの意義をいくら唱えても、IT投資するだけの体力がないから、大半の中堅・中小企業は黙っているだけだろう。このため、「中堅・中小企業は内部統制について関心がない」という結論になり、せっかくの盛り上がりを商談に結び付けることができない。

 そこでソリューションプロバイダは、内部統制の強化をきっかけに業務プロセスを見直すようにするなど、費用対効果につながるようなシステム化を提案すべきだ。例えば、社内の業務を標準化したり業務プロセスを「見える化」することで、IT投資の費用を捻出できるだけの業務改革につながると分かれば、中堅・中小の経営トップも決断するはずだ。



本記事は日経ソリューションビジネス2006年8月30日号に掲載した記事の一部です。図や表も一部割愛されていることをあらかじめご了承ください。
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