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大阪証券取引所のCIO(最高情報責任者)に当たる有冨和利・取締役システム本部長

 大阪証券取引所では、2005年春ごろからシステムの過負荷による処理の遅延が多発。新興市場「ヘラクレス」の新規上場申請を一時凍結するなど、システムが原因で取引所の根幹が揺らぐ事態に陥っていた。

 2006年2月の新売買システム稼働でこうした状況は解消。大証はさらにシステム運営体制を強化するために、同年4月、NTTデータグループで金融情報システムに長年かかわってきた有冨和利氏を実質的なCIO(最高情報責任者)として招いた。ちなみに、やはりシステムトラブルが相次いだ東京証券取引所でも、ほぼ同時期にNTTデータグループからCIOを招いている。

 「証券取引所において、システム部門は表の顔ではないが、なければサービスを提供できない」。有冨氏は現在、大証のIT(情報技術)ガバナンス向上に腐心する(関連記事)。売買システムや清算システムなどシステムの種類によって担当部署が分かれていたのを改め、1つの部署がシステム全体を見るように組織を変更した。業務とITの両方が分かる人材を育成する方策も検討している。

 証券取引所では、相場の状況によって取引量が大きく上下する。有冨氏は、取引量の監視や予測を強化し、柔軟にシステムの処理能力を増減させられる体制の確立を目指している。「かつては、立会場に場立さんがいて、取引量が増えすぎても人が何とかしてくれた。今はシステムで全部やらなければならなくなったが、人任せの考え方がまだ残っているように思う。業務もシステムも自らが考えて、自分の力でサービス提供を保証できるようにしなければならない」と話す。

Profile of CIO

◆経営トップとのコミュニケーションで大事にしていること
・抽象的な話ではダメ。(外部から来たため)まだ業務について私が知らないことも多い。知らない領域のことを質問されたときにも、その場で苦し紛れに答えるのではなく「○日まで待ってください」と言う。そして、できるだけ詳しく調べて具体的に話すようにしている。

・米田道生社長は情報システムを担当した経験があるためかなり詳しく、いろいろと指示が来る。社長が「私は素人ですが」と言いつつも案外詳しい、という点が気をつけないといけないところ(笑)。

◆ITベンダーに対し強く要望したいこと、IT業界への不満など
・私も外部から来ているのに加え、当社のシステム部員にも中途採用で技術に強い人材を増やしており、技術について評価できる体制になりつつある。ITベンダー側も、自社の技術力についての情報を隠さず、オープンにしてほしい。「何でもできる」と言うのではなく、「こういうシステム構成が理想だが、この部分は技術的なリスクがありスムーズに行くとは限らない。一緒に検証してほしい」ということを、正直に言ってほしい。

◆普段読んでいる新聞・雑誌
・日本経済新聞、日経金融新聞、朝日新聞
・週刊ダイヤモンド
・日経コンピュータ
 「創刊当初から読んでいる。読者欄に投稿した文章が掲載されたことも何度かある」

◆最近読んだお薦めの本
・『ローマ人の物語』(塩野七生著、新潮社)
・『イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき』(クレイトン・クリステンセン著、翔泳社)
・『ゴールドラッシュの「超」ビジネスモデル』(野口悠紀雄著、新潮社)
・『ITプロジェクトマネジャーのためのコーチング入門』(大浦勇三著、ソフトリサーチセンター)
・『決断力』(羽生善治著、角川書店)
 「最近は小説よりもビジネス書を中心に読んでいる。『決断力』は、将棋の羽生さんが短時間で先を読んで、読みきれない場合はどの時点であきらめるのかについて興味を持った。システムにかかわる私の仕事でも、トラブル発生時に限られた時間で素早く決断する点などは共通すると思う」

◆仕事に役立つお勧めのインターネットサイト
NIKKEI NET
Yahoo!ファイナンス
ITpro

◆情報収集のために参加している勉強会やセミナー、学会など
・勉強会にはあまり参加していない

◆ストレス解消法
・昔に比べればゴルフや飲みに行く回数は減った。休日は犬を連れて散歩する。1人で歩くのも好き

・これまでは広島や東京での勤務が長かったが、大阪は初めて。大阪近辺でいろんな街に行ってみたい。兵庫県明石市の街には魚屋や「玉子焼き」屋がたくさんあった。街にはそれぞれの顔があって面白い