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 NGNのオープン化やトライアルへの疑問が噴出する中で,その解決に向け「総務省側の対応に期待したい」とする事業者は数多い。実際にある通信事業者は,「オープンにすると言ってきたのに,ブラックボックスな部分が多い。NTTも手の内を見せたくないのだろうが,こうした現状は総務省にも訴えていくつもりだ」と述べる。

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  NGNインタフェース公開直後における総務省の見解

 しかしこのような期待とは裏腹に,現時点では総務省の関連部署は一様に「様子見」という立場をとっている。総務省の総合通信基盤局事業政策課は,「公開された仕様の内容そのものもあるが,トライアルの手順などに問題があれば事業政策課が対応する。具体的に問題が出てきてからの対応となる」とする。料金サービス課は,「こうした情報開示こそがNGNを巡る議論を建設的に進めていく上で大変重要と認識しており,NTT自身がNGNをオープンにしていくと表明している点は歓迎」と,一定の評価を与える。

 また,公開されたインタフェース条件を技術的な観点からチェックした電気通信技術システム課は,「標準技術にしたがっており,現時点では仕様の内容に問題があるとは考えていない」と言う。事業政策課と同様に「まずは他事業者の問題分析を待ち,何か具体的な問題か出てきてから対応する」。

 ただし,現時点では中立的な立場で様子見をしているものの,NTTの今後の対応や個別相談の行方は注視する方針。「仕様書にはプラットフォーム機能がまだ書かれていないので,これだけでは,プラットフォームがどういうものなのかは分からない。そのため『もっと工夫したサービスを提供したい。課金や認証も実施したい』というトライアル参加事業者の要望があっても,このままでは反映できないことも確かだ。これらは今後のNTTの対応を見ていきたい」(事業政策課)。

 料金サービス課は,「NGNのオープン化が第三者から見ても客観的に確保されているのかどうかということが重要。競争政策の観点からはIP懇の報告書を受け,NGNのオープン化について今秋から検討の場を設けて議論をしていく」と付け加える。電気通信技術システム課は,「トライアルが実際に始まったり,公開された仕様以上に深くサービスなどを作りこむ場合に,『このままでは提供したいサービスを実現できない』,『サービス提供に時間がかかり過ぎる』など,いろいろ問題が出てくるのかもしれない」と予測している。

 とはいえ,総務省には上記のようにNGN関連の窓口は複数あるため,NTTのNGNに対して意見がある場合,どこに駆け込めばいいのかの判断が難しい。例えば,電気通信事業者協会(TCA)で「次世代ネットワークに関する事業者間連絡会議」に参加しているのは事業政策課だが,NGNの接続ルールに関する検討会を立ち上げるのは料金サービス課となっている。また,NGNの技術的な分析を担当するのは電気通信技術システム課である。この点は総務省も認識しており,いずれNTTのNGNに関する対応窓口を一本化することも考え始めるようだ。

 まだトライアル参加事業者とNTTの個別交渉も始まっておらず,多数の問題提議はあるものの,両者の間で直接の軋轢(あつれき)はないことも確か。12月のトライアル開始に向け,参加事業者とNTTの個別交渉が紛糾する事態が相次ぐことになれば,様子見を続ける総務省が本格的に腰を上げることになりそうだ。