PR

会議やプロジェクトにおいて、中立的な立場で参加者から意見や貢献を引き出し、納得性を醸成しながら合意形成に持ち込むコミュニケーションのスキル。

 日本企業のホワイトカラーの仕事で、大きな割合を占めるのが会議。せっかく長い時間を費やすのに、上司の意見を“拝聴”するだけに終わったり、意見が対立して感情までこじれたりと、なかなか前向きな合意形成に至らないケースも。

 会議を活性化させ、効率的に運営するスキルの1つがファシリテーションです。参加者全員からうまく意見を引き出し、対立する意見を折り合わせたり、視点を変えたりしながら議論を深め、合意形成に持ち込む「仕切り」の技術ともいえるでしょう。

 ファシリテーションの起源は古代ギリシャの哲学者、ソクラテスの「産婆メソッド」にあるといわれます。一方的に教えるのではなく、対話を通じて相手を刺激し、相手が自分で答えを見つけ出すように導く手法です。米国では1960年代から企業が教育プログラムに取り入れ始め、今では大手企業の管理職やリーダーの基本スキルとなっています。日本でも研修に取り入れる企業が増えてきました。

◆効果
納得性を高めやる気を引き出す

 ファシリテーションの効用の1つは会議の運営を効率化することです。さらに大きな効果は、参加者全員が深い議論を重ね、納得感をもって結論を出すことができるので、実行へのモチベーションを高められる点にあります。このため、会議だけでなく、業務改革のプロジェクトなど、メンバーの当事者意識を醸成し、求心力の形成が必要となるケースでも、ファシリテーションが大いに役立ちます。

 こういった意味で、ファシリテーションはまさにリーダーが備えるべきスキルの1つといえます。組織のメンバーの力を引き出し、戦略や方向性をメンバーが主体的に決めていけるよう促進するのがファシリテーター型のリーダーです。

 トップダウンで自らが描いたビジョンと戦略に向け組織をけん引する「カリスマ型リーダー」に対して、「ファシリテーター型リーダー」には多様な視点を持つ社員の力を活用できる強みがあります。経営環境の変化が激しい条件下で、複雑な課題を解決できるリーダーともいえます。

◆事例
日産では3000人

 ファシリテーションを業務改革に生かしている代表的な事例が日産自動車です。全世界で3000人を超える社員に研修を実施し、全社業務改善活動「V-FAST」に組み込んで意見交換を活発にするなどの効果を生んでいます。

 経営者がファシリテーションのスキルを経営に生かす例としては、リゾート運営会社の星野リゾート(長野県軽井沢町)が挙げられます。星野佳路社長は、現場で働く社員にリゾート運営の戦略立案を任せることで、現場の活性化やモチベーション向上を実現しています。