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 マーケティングの第一人者フィリップ・コトラーによれば、「プロモーションとはコミュニケーション戦略」であるという。この言葉の真意は、とかくプロモーションというと一方的な情報発信として捉えられるなかにあって、実際には消費者との双方向性をもったコミュニケーションこそがプロモーションを成功させる要諦であるということなのではないだろうか。

 当然、それはウェブにおけるプロモーションにおいても同じことが言えるだろう。その証拠に、近年ウェブの世界ではバズマーケティングやバイラルマーケティングと呼ばれる消費者の口コミ効果を意識した新たなプロモーションが注目を集めている。

 もちろん、その背景には口コミの土壌となるCGM(SNSやブログ、掲示板といった消費者発信型メディアの総称)の急速な普及がある。総務省が2006年4月13日に発表したデータによれば、SNSとブログの3月末時点の登録者数はそれぞれ716万人と868万人となっている。また、インターネットコムとクロス・マーケティングが行った調査によれば、掲示板において書き込みをするユーザーは45%と、回答者の約半数に達しているという。つまり、ユーザーがこうしたCGMを利用し、気軽に自らの意見をネット上に公開できるようになったことで、企業もようやくプロモーションにおける双方向コミュニケーションの必要性に気付いたということではないだろうか。

 しかし、こうした消費者の口コミによるプロモーションにはリスクも伴う。企業側が意図的に情報を操作することが難しいのである。そのため、マイナスイメージとなる書き込みがあると、それが負の連鎖を引き起こし、自社商品名やサービス名で検索したときに、上位に表示されるのが自社商品・サービスの悪評だらけ、ということも起こり得る。だからといって、いわゆる「やらせ」で風評を流すのもお勧めできない。実際に、企業がウェブ上での評判をコントロールしようとして失敗した事例は過去にいくつも存在する。

 国内の事例では、ある企業が新製品の発売にあわせて製品の体験日記ブログを開設したが、批判的なコメントやトラックバックが相次ぎ、荒れに荒れたままブログが閉鎖されたという一件があった。この一件はブログのオーナー自身が企業側の人間ではないかという疑いを持たれたことが事の発端だが、批判的なコメントやトラックバックを削除したことが多くのユーザーの反感を買い、より騒ぎを大きくしてしまった要因であると言われている。

 ただし、こうした悪評も発想を転換すれば、企業にとって決して悪い面ばかりとは言えない。批判的な意見も、消費者の生の声である。こうした声はCGMの発達なくして簡単には得られなかった貴重な意見であり、かつてはコールセンターやお客様ハガキなどを通じてしか手に入らなかったものである。

 消費者の声を集めるために、今までは多くの予算を割けなかった企業も、CGMの普及によって、今後は検索エンジンのインデックスをデータベース代わりに活用することで消費者から改善すべきヒントを得られるようになるのではないだろうか。

 最近では、gooの「評判検索」(実験サイト「goo ラボ」において2006年6月16日までの期間限定公開)や「BuzzTunes」、「ブログクチコミサーチ」といったブログでの特定キーワードの評判を検索できるサービスも多く登場している。

 もし、検索結果にネガティブな意見ばかりが表示されるのだとしたら、それは企業側の責任として重く受け止め、何らかの改善を行うべきだろう。つまり良い評価であれ、悪い評価であれ、消費者の声をダイレクトに収集できるということは、企業にとっては喜ばしいことではないだろうか。それこそ、消費者との双方向性をもったコミュニケーションツールになり得なくもない。

 CGMの隅々に潜在的に存在する消費者の生の声を、どのように吸い上げていくかが、今後企業のマーケティング活動の鍵になっていくのではないだろうか。


(アウンコンサルティング セールスグループ 福島絵里子)









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