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 SEO(検索エンジン最適化)の歴史が語られる時、その起源は決して明るく健全なものではない。SEOはかつて検索エンジンのアルゴリズム(順位決定の際の評価基準)が未熟だった90年代半ばに、アダルトサイトやオンラインカジノがこぞって検索エンジンの上位表示を競ったことが始まりとされている。一時は関連性の薄い主要キーワードで検索しても、検索結果の上位をこうしたサイトが占めるまでになっていた。

 その後、グーグルの登場で技術革新が進み、検索精度の改善が図られたことで、さすがにそうしたひどい状況は改善されている。しかし、最近でもSEOスパム(以下、スパム。アンフェアな検索エンジン対策のことを指す)を行ったサイトをグーグルがインデックスから削除したことが各所で大きく取り沙汰されるなど、SEOにはどうしてもダーティなイメージが付きまとっている。

 しかし、この点については、SEOとスパムを切り分けて考え、しっかりとした認識をもとにSEOに取り組むべきではないだろうか。実際、グーグルのシニア・エンジニアであるMatt Cutts氏は自らが運営する個人ブログ「Matt Cutts: Gadgets, Google, and SEO」において、「SEOとスパムを明確に区別する必要がある」としている。

 では、ここで言われるSEOとスパムの違いはいったい何なのか?

 その点を考える際のヒントになるのが、そもそも検索エンジンは何のために世に存在するのか、ということではないだろうか。もともと検索エンジンは、ウェブ上に無数に存在するページからユーザーが求める情報を探し出すために存在する。だからこそ、検索エンジンのアルゴリズムは、いかにしたらユーザーが検索結果の先にある情報を見て「我が意を得たり」と感じられるかを考えながら、綿密に設計されているはずだ。なぜなら、ユーザーに利便性を提供することが、検索エンジンの使命であり、存在意義だからである。実際、検索エンジンの提供会社はその使命を果たすために最適なアルゴリズムを求め、ユーザーの反応を見ながら常にアルゴリズムの修正を加えているのだろう。

 だとしたら、現在はまだ不完全なアルゴリズムであるが、研究や開発が進むことで、ユーザーの利益を追求したサイトが上位表示の対象となるのが、その目指すべき最終形ではないだろうか。

 とかくSEOというと、集客のために検索数の多いキーワードで無理やり検索エンジンの上位表示を得ることと勘違いされたり、HTMLコードの書き変えやリンク構造の見直しなどの技術的な側面ばかりがクロースアップされがちだ。しかし、そもそもSEOとは、自身のサイトが特定キーワードで検索するユーザーにとって、いかに価値があるものなのかを検索エンジンに納得させる手法だと考えられる。だからこそ、本当のSEOを行うためには、どうしたらユーザーに有益な情報を提供できるかという視点が欠かせないし、検索エンジンの上位表示を得るために行った施策が、結果的にユーザーの満足を高めることにつながることもあるわけだ。

 そのため、検索エンジンを騙して上位表示を得たり、ユーザーの検索したキーワードとそぐわない内容のページを露出させることはもはや真のSEOとは言えない。それこそがスパムと言えるものである。

 それに対して、ユーザーの満足のために、自社サイトを最適なサイトとして検索エンジンに認めてもらうことは、何ら後ろめたい作業だとは言えない。なにしろヤフーやグーグルといった検索エンジンの提供企業自身が、そうした行為を肯定的に捉えている。その証拠にそれぞれが運営する検索サイトには次のようなページも準備されている。

 もし御社のサイトや商品・サービスが競合よりもユーザーを喜ばせることができると自信を持って言えるのなら、胸を張ってSEOを実施してみるべきだろう。逆に、利己的な考えで検索エンジンやユーザーを騙すように実施されるスパムならば、結果的には検索エンジンからペナルティを受けたり、ユーザーの信頼感を損なうことにつながる可能性は高い。それに、そこに多くの労力を割いて、仮に上位表示を得たところで、結局はユーザーの利益を追求したアルゴリズムの見直しが図られることで、検索結果は自ずと下降線をたどって行くことになるだろう。結局のところ、リアルのビジネスがそうであるように、ネット上でもまずユーザーありきの戦略こそがビジネスに成果を与えてくれる唯一の成功戦略になるのではないだろうか。


(アウンコンサルティング マーケティンググループ 市川伸一)









 本コラムは、アウンコンサルティングのサイト 「(((SEM-ch))) 検索エンジンマーケティング情報チャンネル」に連載中の「SEM特撰コラム」を再録したものです。同サイトでは、SEOや検索連動型広告など検索エンジンマーケティング(SEM)に関する詳しい情報を掲載しています。