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 夏ころから,Asterisk関連のビジネスに乗り出す企業が急増している。製品開発元やシステム・インテグレータ,工事・保守業者が相次ぎ参入を表明。Asteriskソリューションといえば製品開発元や独立系インテグレータの数社が目立つ程度だった今年初めから,その数は一気に膨らみ,9月時点で30社を超えた。「サポート体制の欠如」というオープンソース最大の課題が,Asteriskに関しては急速に解決に向かっている。

  図 Asterisk陣営の相関図
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  図 Asterisk陣営の相関図

 Asterisk市場に参入してきた業者の顔ぶれは,実にバラエティに富む()。従来,電話関連のシステム開発者や設置業者と言えば,通信機器メーカーとその関連会社,電設業者が中心だった。ところがAsteriskに関しては,事情が異なる。製品提供で先行したターボリナックスは,元々Linuxディストリビューションの提供元。秋葉原でパソコンやサーバーなどを販売する国際産業技術も,Asterisk製品の販売を始めた。

 ほかにも,東京都内8区と埼玉県川口市で事務機器を販売する庚伸(こうしん)がモバイル・テクニカのアプライアンス製品を販売している。日本通運は,ASPと契約を結び,IP電話機やAsterisk製品のキッティング,配送,設置などを請け負っている。パソコン関連のキッティングにとどまっていた事業を,Asteriskにまで拡大した。さらに,エムトゥエックスやユーエフネットのように,どこからでも利用できるインターネット電話サービスの事業者が,Asterisk製品の開発,あるいはAsteriskとIP電話サービスのゲートウエイ・サービスなど手掛けている。

 理由は簡単。製品開発元が,大手メーカー/インテグレータのような販売・サポート網を持っていないため,別の業者の力を使おうとしているのである。図から,それぞれのAsterisk製品の開発元がパートナ作りを急いでいることが見て取れる。

 PBXメーカーのIP-PBXとは違う販路を開拓したいという,ベンダー側の狙いもある。ソースコードを無償で入手・利用できるAsteriskは,コスト抑制の意識が強い中小企業が当初のターゲットになると見ているからだ。その中小企業に製品を売り込み,サポートするには,それぞれの地域内で機敏に動き回れる機動力が必要になる。地方企業のニーズに応えるため,広範囲に展開できる“足”も欠かせない。

 このほか,Asteriskの持つ機能を運用を含めたサービスとして提供する業者も現れている。その1社が,6月にAsteriskのホスティング・サービス「Biztel」を開始したリンクだ。企業に代わってIP-PBXを運用するサービスで,イメージはIPセントレックスに近い。50人以下の企業や,企業の一部の部署,期間限定のイベントでの採用を狙う。サービスの特徴は料金の安さ。月額費用はサーバー利用料(2万3100円から)とアプリケーション利用料1万5750円(初期費用は別途必要)。アカウントとグループの作成,自動転送,ボイスメール,IVR,外線発信などの機能を提供する。リンクの眞神克二取締役営業部長は,「LinuxなどのOSで動く商用のIP-PBX製品は他にもあるが,コストがかかりすぎてサービス料金が高くなってしまう。Asteriskは料金や機能の面で,当社が目指すサービスを提供するのにピッタリだった」と話す。

 Asterisk市場に新規参入してくる業者は,まだ増える。11月にはヤフー・グループのファーストサーバがAsteriskのホスティング・サービスを開始予定。来年2月にはNTTデータがコール・センター向けのアプライアンス製品を投入する。さらに,中堅~大手のシステム・インテグレータの中にもAsteriskに手を付ける例が出始めた。今夏に,NTTデータ・グループのNTTデータ先端技術と日本ユニシスがコール・センター向けのインテグレーションを開始。10月には,中堅企業向けのシステム開発を得意とするニッセイコム(日立製作所と日精が出資)が,ターボリナックスの「InfiniTalk」を取り扱い製品のラインアップに加える。来年前半にかけて,市場はさらに活性化しそうだ。

【修正履歴】
図からリンクした記事に誤りがありましたので修正しました。拡大図の左にある下から2番目の「CLiCK」からのリンクです。当初,ETモバイルジャパンの説明の最後に,「オープンコムに製品企画と資金提供をしたうえで,開発を委託している」とありましたが,そのような事実はありませんでしたので,削除しました。(2006年10月20日)