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 今,日本の通信業界は,20年に一度の大変革に直面している。NTTが構築を進める次世代ネットワーク「NGN(next generation network)*1」が,具体的な姿を見せ始めたからだ。

 「技術の確認をしつつ,サービスのニーズを探るため」(NTTの橋本信 常務取締役 第二部門長 次世代ネットワーク推進室長),NTTは12月からNGNのフィールド・トライアル*2を実施する。7月にその接続インタフェースを公開し,情報家電メーカーやコンテンツ・プロバイダ,他の通信事業者など幅広い事業者にトライアルへの参加を呼びかけた。このようなトライアルは,1980年代半ばに実施したINS構想*3の三鷹・武蔵野実験以来,実に約20年振りだ。

 トライアルとは言え,2007年度後半には商用サービスで使うNGNが稼働する予定であり,機能的には限りなく本番に近い。「商用化が前提であり,うまくいかなかったら(月20万と急増中の)光ファイバ・ユーザーに対する背信行為」(NTTの和田紀夫社長)。NTTにとって史上最大の大勝負と言えるのである。

 商用サービス用NGNの構築にも着手した。2005年末に中継系設備のRFP*4を公開済みで,既にメーカーの選定も終えた模様だ。2006年4月には最重要コンポーネントであるエッジ・ノード*5のRFPも公開している。

 こうした一連の取り組みによりNTTは,世界の中でも先頭集団に入った。NTTは「NGNで世界をリードする立場」(和田社長)へと一気に躍り出た格好だ。

電話のバックボーンにとどまらない

 NTTが構築するNGNの第1の目的は,将来のBフレッツのバックボーン。特に,ひかり電話*6を現在の固定電話並みに安定させる役割を担う。2010年度末までに光ファイバの3000万加入*7を目指すNTTの大目標を支えるのであるから,これだけでも重要かつ巨大なネットワークになるのは間違いない。NGNは「電話に求められる品質やセキュリティなどを加えたIP統合網」(NTT第二部門次世代ネットワーク推進室の雄川一彦ネットワーク戦略担当部長)なのである(図1)。

図1●NTTが目指すNGNの姿
図1●NTTが目指すNGNの姿
品質とセキュリティを確保した統合IP網を新たに構築し,既存の固定電話やデータ通信サービス,携帯電話を徐々に統合していく計画。その影響範囲は広く,多くの業界を巻き込み,産業構造を一変させる可能性がある。
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 NTTは,高音質の電話サービスや高品質なテレビ電話,同時に複数チャンネルを表示可能な映像配信サービス,現在のインターネットと同様のベストエフォートのサービス,といったものをNGN上のサービスとして計画している。例えば高音質電話は「音声に使う帯域が現在の倍以上」(和田社長),テレビ電話はHD*8対応,映像配信はH.264*9に対応するという。

 だが電話や,その延長線上にあるサービスは,実際には露払い役に過ぎない。NTTが進めるNGNの本質は,多彩なサービスをいろいろなプレーヤーが提供できるようにすることだ。それは通信業界の構造すら変えかねない。