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 アドビシステムズは,リッチ・クライアントを実現する開発環境の新版「Adobe Flex 2.0 日本語版」とFlashアプリケーションのランタイム新版「Adobe Flash Player 9」を出荷している。Flexはバージョン2.0によって大きく進化し,小さなWebアプリケーションから本格的な企業システムまで幅広く活用できる開発環境になった。

 米Adobe SystemsのEnterprise & Developer Business Unit担当シニア・ディレクタ,Jeff Whatcott氏に,Flex 2.0や米MicrosoftのWPF技術について聞いた。

Flex 2.0のメリットはどこにあるのですか。

米Adobe SystemsのEnterprise & Developer Business Unit担当シニア・ディレクタ,Jeff Whatcott氏
 Flex 2.0の改善点は大きく三つあります。一つ目は,Flashアプリケーションのパフォーマンスを大きく改善したことです。Flash Player 9では,ActionScriptのバイトコードをネイティブ・コードに変換するJust-In-Time Compilerを搭載したことで,アプリケーションの実行速度が最大10倍高速になりました。

 二つ目の目玉は,データベース接続/管理用サーバー・ソフト「Flex Data Services 2」です。これは,クライアントとバックエンドのデータベース・システムなどとのスムーズな連携をもたらします。例えば,サーバーから定期的にデータを配信して,クライアントでリアルタイムに変動するグラフを描画するといったPush型アプリケーションを容易に開発可能になります。

 三つ目は,オープンなライセンス・モデルを導入したことです。従来は,有償のサーバー・ソフトに含まれていた開発キット(SDK)を,Flex SDKとして無償提供しました。また,データサービスのFlex Data Services 2 Expressも無償にしました。Express版は1CPUでの利用に限られますが,それ以外に制限はありません。商用での利用も可能です。つまり開発者はFlash Player,Flex SDK,Flex Data Services 2 Expressをすべて無償で入手でき,実用的なRIAの開発が可能になります。これらの改善点は,Flexが主に企業システムに浸透するために,大きな推進力になるでしょう。

Flashを使わない,Ajax技術が広がってきています。

 現状のAjaxをビジネスに応用するには機能,性能,開発効率の点で限界を感じるはずです。例えば,Flexは様々なグラフ表示,データベースのローカル・キャッシュ,Push型アプリケーション,ベクター形式の画像描画など,Ajaxをはるかに上回る表現力と操作性を実現できます。Ajaxの限界を突破するにはFlex 2.0しかないと開発者は気づくはずでしょう。

 とはいえ,FlexはAjaxを駆逐するものではなく,現実的には共存/補完する関係になります。例えば,AjaxのコンポーネントからFlexアプリケーションを制御し,同一の画面上に共存するといったアプリケーションが考えられます。実際に,米Googleの経済情報サイト「Google Finance」は,テキスト部分などをAjaxで,リアルタイム株価チャートをFlexで構築しています。Ajaxを現実的なサイトに応用していこうという気運が盛り上がるほど,こうしたAjax+Flexというハイブリットな事例が増えていくでしょう。Ajaxの成功はFlexの成功につながるのです。

米Microsoftも,次期Windows Vistaに搭載予定のグラフィックス・エンジンWindows Presentation Foundation(WPF)で独自のリッチ・クライアントを実現し,Flashに対抗しようとしています。

 Flash Playerの普及度に比べれば,Windowsはものの数ではありません。Flash Playerは,OSに依存しないクロス・プラットフォームなソフトであり,全世界の6億台を超えるパソコンやモバイル機器に搭載されています。世界で一番普及しているソフトと言っていいでしょう。WPFが今からこれに追いつくことが可能でしょうか?