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 NTTが商用化に向けたトライアルを年末スタート。NECや日立製作所などメーカーが事業戦略を相次ぎ発表――。いま通信の世界では、NGN(次世代ネットワーク)で市場が沸騰している。ITサービス業界から見ると、遠い世界、訳の分からない話に聞こえるNGNだが、ここには大きなビジネスチャンスが潜んでいる。
 NGNは単なるIPネットワークの話ではない。通信事業者は、「認証」「課金」「位置情報」といった門外不出のネットワーク機能を外部に提供しようとしている。ソリューションプロバイダは、こうした機能と企業情報システムを組み合わせた新しいSIを提案できるほか、それらを活用してSaaSなどの新ビジネスに取り組める。既に目先の効くITサービス会社は、NGN活用に走り出した。「通信の話じゃないか」と油断していては、新しいビジネスの波に乗り遅れる。



 「有力ITベンダーがこぞって、NTTに自社の企業向けアプリケーションやミドルウエア製品を提案している。NTTの電話網を担う“電電系ベンダー”の独壇場といわれたNGN商戦に、本気で食い込むつもりだ」(あるコンサルティング会社)。

 NTTグループが2007年度の商用化に向け、構築を急ぐNGN(次世代ネットワーク)。そのフィールドトライアルに向けてサードパーティ向けの接続インタフェースが公開された7月ころから、日本IBMや日本オラクルなどITベンダーの動きが急激に目立ち始めた。

 当の日本IBMはNGN市場への参入について、「トライアルへの参加を検討中。我々は、NGNの実現に必要なすべてのソリューションをいつでも提供できる」(星野裕・先進システム事業部理事-事業部長)と自信満々だ。

 IBMは既に、米通信事業者にNGNソリューションを導入済み。NGNにおけるビジネスモデルの研究部門も設けている。そうした実績を背景に「単に製品を売り込むのではなく、NGNで見込める収益モデルの提案とセットにしたソリューションを通信事業者に提供していく」(星野事業部長)と、日本でも攻勢を強める。

 日本オラクルの林徹システム製品統括本部アドバンストソリューション本部長も、「どうやってNGN市場に参入するかの検討段階は、とうに終えている」と、具体的な戦略固めの真っ最中。NGN内部の通信機器に組み込むデータベースや課金システムといったインフラ向け製品に加えて、CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)ソフトウエアの「Siebel」など、業務アプリケーションまで通信事業者向けに提供することを狙う。

 こうした外資系ベンダーの攻勢を、国内ベンダーも黙って見ているはずがない。

 NECは、NGN上で各種サービスを提供するためのプラットフォーム事業だけで「2005年からの3年間で約4000億円を稼ぎ出す」(粉川英夫執行役員ネットワークソフトウェア事業本部長)と鼻息が荒い。さらに同社はNGNを利用する企業に対するソリューション提供に向け、海外も合わせたグループ全体で1万人規模のSI体制を構築しようとしている。NGNの商用化を見据えたITベンダーの競争は、既に本番を迎えた。

NGNでITビジネスが拡大

 NGNは、NTTなど世界の大手通信事業者が構築を目指すIPベースのネットワーク。電話と、Webアクセスや映像配信などブロードバンドのアプリケーションを統合していこうというものだ(p.20の別掲記事参照)。NGNに色めき立つ大手のITベンダーが、通信事業者の巨額投資をにらんでいるのはもちろんだ。

 だがもう一つ、「SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)やSOA(サービス指向アーキテクチャ)などの新たなITビジネスが、NGNを活用することで一気に広がる」(日本オラクルの林本部長)との別の思惑がある。

 特に、ITベンダー各社が注目しているのは、NTTが抱え込んでいるネットワーク上の膨大な機能や情報のオープン化である。NTTはNGN構想の当初から、それらについて「接続インタフェースを開示していく」と公言してきた。そうすることで、NGNの新たなサービスを、ITベンダーやソリューションプロバイダと共同で作り上げようとしているのだ。

 ソリューションプロバイダから見れば、ユーザー企業の業務システムとネットワークの帯域制御などの機能を組み合わせることで、ソリューションを格段に高度化する可能性が広がる。

 SaaSやアウトソーシングといったストック型ビジネスを展開する上でも、通信事業者が提供するユーザーの認証や課金といった機能をネットワーク経由で利用できるようになる。そうなれば設備投資のリスクを抑えながら、ストック型ビジネスを素早く、安価に展開することも容易になる。NGNはソリューションプロバイダにとっても、十分な“ビジネスの種”になるのだ。



本記事は日経ソリューションビジネス2006年10月15日号に掲載した記事の一部です。図や表も一部割愛されていることをあらかじめご了承ください。
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