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鹿島の武器は“三位一体”活動。システム構築部隊や運用保守部隊がルーチンワークの中で得てくるちょっとした引き合いを、営業案件として鹿島の率いる営業部隊が大きく膨らませ、商談としてまとめていく。「営業の力だけではなく、周囲の協力を得ながらチームワークで仕事をものにする」のが彼の流儀だ。
こうした考え方の背景には、鹿島が以前、保守エンジニアだったこともあるかもしれない。顧客の元へ保守業務に通う中で、受ける質問や相談を商談に発展させる才能を上司に見いだされ、35歳で営業職に転身した。
数年前、ある電子機器メーカーを担当することになった。最初はどのような案件になるのか全く想像できなかったものが、ふたを開けるとどんどんスケールが大きくなる。何度も再見積もりが必要になり、寝る間も忘れて作業に没頭した。最終的にはERP(統合基幹業務システム)導入の提案が受け入れられ、10社に上る競合他社を蹴落とし、4億円規模の受注を勝ち取った。
このときの勝因を鹿島は「相手を好きになって商談を進めたこと」と振り返る。「その人のすばらしいところを認めて好きになることで表裏なく付き合えるし、相手からの信頼も得られる」と言う。この考え方は、今も鹿島の信条の一つだ。そしてスピード感。「顧客の要求には必ず理由がある。それに応える気持ちがあれば、自ずとスピードのある対応になる」。
この3年で、担当部門の受注を2倍にするという野望がある。自らも果敢に動き、部下の営業活動のサポートにも余念がない。取材を終えると「詰めの段階に入った商談をまとめに行く」と足早に出て行った。
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