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  NTTドコモ 法人営業本部の三木茂・第二法人営業部長

 現在,携帯電話の法人市場で最もシェアが高いのがNTTドコモ。個人市場を上回るシェアをつかんでいることは,自他共に認めるところだ。そのドコモが法人市場に向けてより積極的な攻勢を見せている。法人向けのスマートフォンである「hTc Z」「BlackBerry」を立て続けに出荷。10月12日には,モバイル・セントレックスの先駆けとなったFOMA/無線LANデュアル端末「N900iL」の後継機「N902iL」も正式発表した。

 NTTドコモは,番号ポータビリティ(MNP)の開始によって流動化が予想される携帯電話の法人市場をどのように戦うのか。NTTドコモ 法人営業本部の三木茂・第二法人営業部長に,法人市場に向けた戦略を聞いた。

法人市場におけるMNPの影響は。

 シェアをさらに伸ばすチャンスととらえている。個人ユーザーを対象とした各種アンケート結果からは,ナンバーワン・シェアの事業者から,他事業者へユーザーが動く傾向がよく見られる。しかし法人市場は違う動きをすると考えている。

 企業の携帯電話の利用は,複数事業者の端末を混在して利用しているケースが多い。MNPの開始によって,それを1社にまとめる動きが顕在化するだろう。そうなるとシェア拡大のチャンスにつながる。

 携帯電話の法人市場は,潜在的にとても大きい。現在NTTドコモ全体の携帯電話の契約者数は約5200万だが,そのうちの約1割が法人契約となっている。しかし実際に業務に使われている端末はもっと多い。個人契約の端末を業務に使う“隠れ法人端末”が,かなりの数に上ると把握している。それを法人契約としてできるだけ囲い込んでいきたい。

 最近はセキュリティの観点から,個人契約の端末を業務に使うことが難しくなってきた。業務のための情報が端末内に存在するが,全社的なセキュリティ・ポリシーに乗っとって端末を管理できないからだ。

 これらを法人名義にすれば,全社的なセキュリティ・ポリシーに従って端末をコントロールでき,遠隔操作で情報を消すことも可能になる。また統一したプラットフォームの上で,業務に付加価値をもたらすソリューションを提供できる。

 加えて法人名義にすれば,ボリューム・ディスカウントの効果もあり通信費を下げられる。つまり通信費が下がり,セキュリティを確保でき,ソリューションの下地もできる。

MNPに向けた戦略は。

 守りと攻めは一緒。法人ユーザーが1000回線単位で他の事業者に移られるとかなりの痛手となる。そのためまずは既存ユーザーを囲い込むための優遇策を拡充している。

 例えばボリューム・ディスカウントの対象をグループ企業まで広げる「グループ会社一括請求」だ。これはかなり普及してきた。もちろんドコモとしては,同じ契約数のままでは割引率が高くなるため収入が減る。同じグループの中で契約数を増やそうと努力をしている。

 またこれまで相対(あいたい)契約には応じていなかったが,今後は場合によっては応じようと考えている。だがマイラインの時のような泥沼の料金競争をするつもりはない。ユーザー企業と長続きする関係を築くには,お互いがWin-Winにならないとダメだ。だからユーザー企業には,相対で浮いたお金でより付加価値の高いモバイル・ソリューションを導入しないかと提案している。

 モバイルの世界は「もしもしはいはい」だけではない。業務に役立つシステムを構築できる。ユーザー企業は徐々にソリューションやサポートを重視するようになってきた。携帯電話に対してもイントラ・システムと同じような要求が求められている。ドコモとしてはそれに応える体制を築く。

 システムとして企業に入れると,営業担当者が頻繁にユーザー企業を訪れる必要がある。そのためには,きちんとユーザーをケアする人的リソースが求められる。営業人員は全国で2000人ほどいるが,他社よりは充実しているのではないか。また営業担当者がケアできているユーザー企業は,驚くほど解約が少ないという傾向もはっきりしている。

最近,法人向けのスマートフォンも立て続けに出している。

 昨年発売の「M1000」を皮切りに,今年は「hTc Z」「BlackBerry」と立て続けに出した。hTcとBlackBerryは,ドコモではなくメーカー・ブランドでの出荷となる。これらは短期間で市場に出すために,我々が新スキームと呼ぶ方法を取った製品だ。

 例えばBlackBerryは,正式にドコモから出すと決めてからわずか4カ月で出荷にこぎ着けた。新スキームでは,既に海外などで実績がある製品を調達して,品質保証だけをする。これまではR&Dのルールがあり,端末を出すまでにかなり時間がかかった。法人市場はこれから成長していくマーケットだから,このような機動力が重要だ。

 法人向け端末としては,FOMA/無線LAN端末である「N900iL」の次機種も当然用意している(編集部注:10月12日に後継機種のN902iLを正式発表した)。KDDIが対抗機種「E02SA」を出してきたことで,市場全体が活性化してきた。KDDIに対抗するために一部のユーザーには次機種の情報もNDAベースで公開し始めた。モバイル・セントレックスの潜在市場は非常に大きいため,これからも力を入れていく。