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 米Microsoftは10月6日(米国時間)に,Windows Vistaの最後の評価版「RC2」をリリースした。RC2は本当の「リリース候補版」が受ける水準のテストを受けていないので,あくまでも暫定ビルドの1つにしか過ぎない。とはいえ,確かなことが1つある。それは,Microsortが10月中にVistaを完成させて,11月初旬にボリューム・ライセンス顧客に出荷するつもりでいるということだ。Vistaの開発は,いよいよ最終段階に入った。

 Windows Vista RC2は,9月にリリースされたRC1から大きな変化はない。だが5月に出荷された「Beta 2」と比較すると大きく変化している。RC2のパフォーマンスは,過去のVistaの評価版と比べると劇的な進化を遂げており,驚くほど安定したハードウエアとソフトウエアの互換性を実現している(少なくとも32ビット版では)。過去のビルドで筆者が気づいたいくつかの互換性問題(特にAdobe Photoshop Elements 4.0の問題)は解決されている。これは素晴らしいことだ。

 それでもがっかりしたこともある。Windows VistaとInternet Explorer (IE) 7において,いくつかのActiveXコントロールが正常に作動しないことがあったのだ。このことは,企業ユーザーがWindows Vistaで社内アプリケーションやWebサイトのテストを行う際に,注意が必要であるということを示唆している。

 またWindows Vistaに関しては,まだ疑問点が山のようにある。Microsoftは先日,Windows VistaとLonghorn Server(2007年後半に登場予定)を対象とする海賊版防止対策を明らかにした。海賊版防止策は,あらゆる規模の企業に大きな影響を及ぼすだろう。これはWindowsの歴史で初めてのことであり,うれしい知らせではない。

 まず第一に,Windows Genuine Advantage (WGA)が拡大されて,「Reduced Functionality Mode(RFM機能削減モード)」と呼ばれる新機能が追加された。この機能は,システムが「このOSは海賊版である」と判断すると有効になる。

 現状では,海賊版がインストールされていることをWGAが検出すると,Windows XPはそのことをユーザーに知らせるために広告を表示する。ユーザーがMicrosoftに連絡して問題を修正し,正規のプロダクト・キーを入手できるようにするためだ。これがWindows Vistaだと,システムはこれまでのように広告を表示するだけでなく,OSの大部分を使えないようにもしてしまう。RFMが有効になると,Internet ExplorerとWindowsシェルに統合された管理ツールしか実行できなくなる。また1時間がたつと,両方とも使えなくなる。アプリケーションを実行したり,データ・ファイルを開いて編集したりといった,他のアプリケーションの機能もすべて使用できなくなるのだ。

 30日以内にWindows Vistaのアクティベーションをしなかったユーザーも,多くの変化を目の当たりにすることだろう。まず「Windows Aeroユーザー・インターフェース」や「Windows ReadyBoost」といったWindows Vistaの機能は無効になる。そして,Windows Defenderの一部の機能など,他の機能も部分的に無効になる。Windowsのアクティベーションを行うと,システムは無効になっている機能を有効にする。

ボリューム・ライセンス版のWindows Vistaにもアクティベーション

 Microsoftはボリューム・ライセンス版のWindows Vistaにも,アクティベーションを追加した。パソコンが24台以下の企業は,新しい「Multiple Activation Keys(MAKs)」を使う。MAKsは,パッケージ版のプロダクト・キーの場合と同様に,Microsoftの公開サーバーを通して直接アクティベーションを行う。25台以上のパソコン,あるいは5台以上のWindows Serverマシンを持つ企業は,Key Management Services (KMS)と呼ばれるLonghorn Serverの新機能を使って,社内でアクティベーションを実行する。KMSはWindows VistaやWindows Server 2003でも運用できる。Windows Vista用のKMSはWindows Vistaのリリースと同時に,Windows Server 2003用のKMSは,Windows Vistaのリリース後6カ月以内に提供される予定だ。

 MAKsやKMSは,Microsoftが「Volume Activation 2.0」と呼ぶ取り組みの一部である。アクティベーションは厳格で,少なくとも180日の間に一度はKMSベースのサーバーにアクセスしないと,正規版の状態を維持できなくなる。当面は,Windows VistaやLonghorn Serverを自分の環境に展開しないと,この機能を利用することさえできない。

 Microsoftの「Technology Adoption Program(TAP)」に参加していない企業でないと,近いうちにWindows Vistaを展開するのは難しいだろう。筆者の個人的な考えを言うと,Microsoftがソフトウエアの海賊行為から自社を守る権利を持っているのは分かるが,海賊行為防止のために導入された新しい規制はあまりにも厳格すぎると思う。これではシステム管理者の負担が増えてしまうだろう。