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ITU(国際電気通信連合)が開催する「ITU TELECOM WORLD 2003」(TELECOM 2003)では,欧州とアジアの第3世代携帯電話(3G)サービスが話題の中心となった。欧州の携帯電話事業者からは,2004年後半をメドに3Gを本格展開する動きが顕在化。韓国からは2種類の3G方式に対応するなど斬新な新端末が登場した。

 4年に1度の“通信のオリンピック”,TELECOM 2003が10月11日から18日までの8日間,スイスのジュネーブで開催された。数ある分野の中で今回の展示や講演で焦点になったのは,携帯電話を取り巻くサービスや端末,装置とその戦略。特に,3Gを巡る欧州とアジアの実情に注目が集まった。

3G関連の端末や講演に人だかり

 展示自体には,「前回のTELECOM 99と比べて寂しくなった印象を受ける」(シスコシステムズの山中理恵執行役員)という声が多く挙がっていた。確かに出展者数は4年前に比べ減った。とはいうものの,日本企業のパビリオンや韓国サムスン電子,米インテルなどが立ち並ぶホールには2~3階建ての巨大ブースが出現(写真1)。3Gの新端末や装置を展示するブースには人だかりが絶えなかった。

写真1●ITU TELECOM WORLD 2003の展示会場
写真1●ITU TELECOM WORLD 2003の展示会場
日本企業のパビリオンや米インテルなどが立ち並ぶホールに来場者が集まっていた。

 併せて実施された基調講演やパネル・ディスカッションでは,米シスコ・システムズのジョン・チェンバースCEO(最高経営責任者)や米ヒューレット・パッカードのカーリー・フィオリナCEOなどのキー・パーソンが多数登壇。中でも米マイクロソフトのビル・ゲイツCEOは講演中に英ボーダフォンとの提携をぶち上げ,3000人以上いた聴衆を沸かせた。

通信とソフトの巨人が強力タッグ

 ボーダフォンは世界中の携帯電話事業者に出資しており,26カ国で1億2000万を超えるユーザーを持つ世界最大の携帯電話グループ。今回の提携は,まさに通信とソフトウエアの巨人同士が手を組んだことになる。

 提携のポイントは,XML技術をベースとした携帯電話向けWebサービスの開発に関するもの。マイクロソフトが「Mobile Web Services」と呼ぶ構想で,ボーダフォンの協力のもと,携帯電話を使った位置情報の取得や料金請求などの仕組みを標準化する。仕様が固まれば,これまでパソコン向けにWebサービスを展開してきた事業者が,ボーダフォンの携帯電話端末にサービスを移植しやすくなるという。

 ボーダフォンは2002年10月に始めたブラウザフォン・サービス「Vodafone Live!」が,1年で200万加入を超えるなど好調である。Mobile Web Servicesの仕様を取り入れることで,サービスをいっそう充実させる狙いだ。

欧州3Gは2004年後半に本格化

 基調講演やパネル・ディスカッションで何度も取り上げられたのが,欧州における3Gの展開状況(図1)。現状では,欧州で3Gサービスを開始したのは香港の多角経営企業ハチソン・ワンポア傘下のハチソン3Gグループにとどまる。

図1●アジアに比べ普及が遅れる欧州の3Gサービス
図1●アジアに比べ普及が遅れる欧州の3Gサービス
2003年第2四半期時点で63事業者がCDMA2000 1x方式の3Gサービスを始めている。西欧ではW-CDMA方式の商用化を予定する国が多いが,既にサービスを開始したのはハチソン3Gだけ。一方,アジアでは韓国や日本などの8事業者が既に1xEV-DOを商用化。中でも韓国は,1xEV-DOと併用してW-CDMA方式のサービスも都市部でトライアルに入った。なお,ここでは韓国・日本および西欧の1xEV-DOとW-CDMAの加入者数についてまとめた。
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 欧州の携帯電話事業者は当初,2001年末から2002年初頭にW-CDMA方式の3G事業を始める計画だった。しかし,3Gの免許取得への巨額投資などによる資金難に加え,3G端末の消費電力や容量が大きすぎるなどの問題に直面。サービスインの延期を繰り返してきた。

 しかし,他社もいよいよ2004年後半には続々とサービスを開始する機運が高まってきた。ボーダフォンのアルン・サリーン会長は基調講演で「端末を大量に供給できる体制が整う2004年9~10月までに3Gサービスを始める」と明言(写真2)。「我々はこれに向け,毎年数億ドルをインフラ整備に投資している」(サリーン会長)。

写真2●英ボーダフォンのアルン・サリーンCEOが基調講演で3G事業計画を公表
写真2●英ボーダフォンのアルン・サリーンCEOが基調講演で3G事業計画を公表
2004年の9~10月までに3Gサービスを始めると明言。

 フランステレコム傘下の仏オレンジも,2004年後半には3Gサービスを始める計画を明らかにした。オレンジはボーダフォン,独T-モバイルに続く欧州3大携帯電話事業者の一つ。ボーダフォンとオレンジが計画を明確にしたことで,他社も3Gサービスを始めざるを得ない状況になってきた。

 オレンジのブースでは,3Gインフラを使ったテレビ電話や動画のダウンロードなどのサービスをデモ(写真3)。多くの来場者が端末を手に取り,3Gの通信を体験していた。

写真3●仏オレンジは3G端末を使いデモ
写真3●仏オレンジは3G端末を使いデモ
フィンランドのノキアの3G端末「NOKIA 7600」と通信設備を使い,W-CDMA方式によるテレビ電話などを実演した。