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 10月6日から8日まで東京・有楽町交通会館で開催されたオーディオ関連ショー「ハイエンドショー・トウキョウ2006」では,目を引くスピーカが多く出展されていた。そこで今回も引き続き,そこに出展されていたスピーカを紹介する。ほぼ同時の,7日と8日に開催された「真空管オーディオフェア」でのスピーカの新製品や,秋葉原で発見した新製品も紹介する。

クォンツ

 クォンツは,普通鋳鉄の数倍の強さを持ったダクタイル鋳鉄を使ったユニークなスピーカを開発・販売している。今回のショーでは3種類の新製品を「CASTRON」というブランド名で出展した。すべて2006年11月発売。このスピーカに使用しているダクタイル鋳鉄(FCD600という規格の鋳鉄を改良したもの)は,音の伝播速度が5600m/秒以上あり,スピーカ・ユニットの振動と箱の振動の遅れが非常に少なく,濁りの少ない音が再生できる。箱の中は,吸音材を使用せず,表面の粗さと,平行面を持たない構造によって音のチューニングを行っている。

 「CASTRON Mk1 SE」は,2ウェイ,2ユニットのリア・バスレフ・スピーカ。ウーファは16cmのETON製,トゥイータは2.8cmのTang Band製ソフト・ドーム。出力音圧レベルは85dB/W/m,許容入力は50W。寸法は幅220mm×高さ320mm×奥行き200mm。重量は17kg。1台18万9000円。色はシルキー・ブルーである。

 「CASTRON Mk2 SE」はMk1 SEのウーファを2本にしたもの。出力音圧レベルは88dB/W/m。寸法は幅220mm×高さ480mm×奥行き200mm。重量は25kg。1台28万3500円。色はシルキー・ブルーである。

 Mk1 SEとMk2 SEのトゥイータをVIFA製の2.5cmに変更したモデルが,それぞれ「Mk1 Signature」と「Mk2 Signature」である。価格はそれぞれ1台21万円と31万5000円。

 「CASTRON QT-01」は,1ウェイ,2ユニットの小型スピーカで,Tang Band製の2種類の8cmフル・レンジ・ユニットを使用している。1つはアルミ・コーティングのペーパー・コーンで,もう1つはチタン・コーンである。出力音圧レベルは88dB/W/m,許容入力は30W。寸法は幅120mm×高さ250mm×奥行き159mm。重量は7kg。1台15万7500円である。


図1●左からCASTRON Mk2 Signature,同Mk1 Signature


図2●CASTRON QT-01

丸十製陶

 信楽焼きの陶器メーカーである丸十製陶は,同社初の信楽焼きスピーカを出展した。ammの10cmフル・レンジ・ユニットを使用している。2007年2月に発売予定で,2台で16万8000円程度を予定している。インテリア向けの製品である。筒型のスピーカも参考出品した。


図3●丸十製陶の信楽焼きスピーカ

村田製作所

 村田製作所は,従来から販売しているセラミックス・トゥイータや,球形スピーカ・システムを出展した。

 「ES301」は,1つの直径8cm半球状圧電セラミックスのスコーカと,3つの直径10cm平板ハニカム・ダイナミック型ウーファの2ウェイ構成である。再生周波数帯域は,50Hz~30kHz。平均音圧レベルは78dB,最大許容入力は80W。寸法は,幅200mm×高さ680mm×奥行き285mm。重量は1台16.6kg(スタンド付き)。価格は,黒漆仕上げ(ES301)が49万9800円,ワインレッド・ピアノ仕上げ(ES301R)が53万1300円。2004年12月発売である。


図4●村田製作所のES301R

カイザーサウンド

 カイザーサウンド社はローゼンクランツというブランドのインシュレータ,スピーカ,アンプなどを開発・販売している。

 今回のショーでは,新開発のスピーカの試作機を出展した。和紙を振動板に使用したスピーカ。2006年12月発売予定で,価格は2台で80万円程度。台は別売り。周波数特性は36Hz~23kHz。出力音圧レベルは95dB。寸法は,幅256mm×高さ425mm×奥行き315mm。仕上げはカスタムで選択でき,価格はそれによって変化する。


図5●カイザーサウンドの新型スピーカ


図6●カイザーサウンドのスピーカ・ユニット。手前は和紙の振動板

クボテック

 クボテック社は,検査機システム,CAD/CAMシステムなどの産業用システム・メーカーであり,オーディオ事業を2004年9月から開始した。ブランド名はHANIWAという。

 今回のショーではHANIWAの新製品スピーカを2種類出展した。HANIWAスピーカは大型のホーン・スピーカ・システムであり,マルチアンプ駆動を前提にしている。

 ホーン・スピーカは,優れたトランジェント特性により,根強い人気があるが,位相特性のコントロールが難しい。従来の回路では,周波数特性を補正すると位相特性に変化を起こし,2つの特性を両立させることは不可能と考えられていた。同社ではDSPによる「FPIC-100」(42万円)を開発することにより,この問題を解決した。従来の周波数特性を中心に考えたフィルタではなく,タイム・ドメインにおいて重要な影響を及ぼす位相特性をも考慮した制御方式を採用している。トランジェント特性が優れ,しかもインパルス応答,ステップ応答の良いシステムが実現できる。その結果,ほかのホーン型スピーカ・システムでは再生不可能な,埋もれてしまう様な細かい楽器の音まで再生できるようになった。

 
図7●ホーン・スコーカの周波数特性と位相。トラクトリックス・カーブにより,カットオフの300Hzまでスムーズな周波数特性を実現している。位相特性は2kHzから200Hzにかけ240度の位相遅れが発生している
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  図8●FPICにより作成した補正信号。図7のカーブに対し,周波数特性と位相特性を同時に補正する入力信号をDSP回路により作成したもの。2kHzから低域にかけて,位相を進ませている。従来のネットワークでは低域をカットすると,位相は遅れるのに対し,FPICでは,逆に低域で位相を進ませている
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図9●図8の信号を入力したときのホーンの特性。周波数と位相の両方が改善されている。位相特性は300Hzから7kHzまでほぼ直線位相になっている
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  図10●ウーファとトゥイータ付加した特性。200Hzから10kHzまで位相はフラットに近づいている
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 ホーンはスフェリカル・ホーンという独自のものである。従来からあるトラクトリックス・ホーンの改良型で,解放端を円形にロールさせることにより中低域まで自然に空間へ解き放つことができる。この独特の形状は,独自のソフトウエアで解析し,理想のホーン形状を決定している。能率が極めて高く,より少ない振動板振幅と極小の電圧で駆動できる。結果として歪を大幅に減少させることが可能になった。しかも小振幅で充分な音量を確保できるためハイレスポンス,そしてハイスピードな再生が実現し,大音量時だけでなく小音量時にも,ディテールまでしっかりと表現できるという

 2006年10月発売の新製品はウーファが33cmの「SP1W33」,25cmの「SP1W23」,20cmの「SP1W20」の3種類ある。

 HANIWA SP1W33は,3ウェイ,3スピーカのホーン・システム。ウーファはETON製,スコーカはElecro-Voice製の3インチ・コンプレッション・ドライバ,トゥイータはフォステックス製のものを使用。寸法は,幅955mm×高さ1435mm×奥行き640mm。価格は2台で682万5000円。

 HANIWA SP1W20は,ウーファを20cmのUsher製にした製品。寸法は,幅638mm×高さ1040mm×奥行き450mm。価格は2台で315万円である。


図11●手前が「HANIWA SP1W33」。奥が「同SP1W20」