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図書館では貴重な書籍の紛失を防止

 図書館ではすべての書籍(雑誌を除く)にICタグを手作業で張り付け、貸し出し管理に利用している。ICタグを張り付けた場所は、背表紙の裏である。まず貸し出しカウンタに設置したリーダーにICカードをかざして本人確認を行い、次にICタグが付いた書籍をリーダーの上に載せると、貸し出し手続きが完了する。貴重な書籍の紛失を防ぐため、貸し出し手続きをしないで入り口に設置したゲートを通ると、警報音が鳴る。貸し出し期限が過ぎた場合には、借りた人の携帯電話機に返却要請のメールを送る仕組みである。

 東京聖徳学園が今回のシステムを導入したのは、キャンパス内の手続きをできるだけ自動化することで、「学生や教職員の利便性を高めるため」(同学園副学園長の川並弘純氏)である。システムを構築した東芝プラントシステムは今回と同様のシステムを、武庫川女子大学(兵庫県西宮市、武庫川学院が運営)に納入した実績がある。一方で聖徳学園と武庫川学院の経営者は以前から、定期的に情報を交換する間柄だった。「武庫川女子大のシステムが安定して稼働していることもあり、東芝プラントにシステムの構築を依頼することにした」(川並氏)という。

学生の出欠管理などへの適用も検討

 今回のキャンパスカードシステムの導入費用は約6億円である。当初の計画より2億円ほど高くなったが、「学生や教職員の利便性を向上させるためには必要な投資」(川並氏)とみている。そのため今後も、サービス内容を拡充する計画だ。その一例が、学生の出欠管理への応用である。ICカードを使った出欠管理システムはすでに、他のいくつかの大学で稼働しているが、友人同士のICカードの貸し借りによる「代返」をいかに防ぐかが運用上の問題になっている。プリペイド機能付きのICカードなら気軽に貸し借りしにくくなるが、それでも代返を完全に防ぐのは難しい。実用化するには、「代返の防止策をはじめとして、実効性のある運用方法を検討する必要がある」(聖徳学園理事長室情報システム課長の菱沼郁也氏)という。

 また聖徳学園の川並氏は、「現在のキャンパスカードを、ICカード乗車券としても使えるようにしたい」という。具体的には、東日本旅客鉄道(JR東日本)が発行する「Suica」との一体化である。両カードの一体化を実現するには、Suicaの裏面に表記してある利用規約のデータの代わりに、顔写真や氏名といった学生証や教職員証のデータを印刷しなければならない。ところが現時点でJR東日本は、Suicaの裏面に利用規約以外のデータを印刷することを認めていない。

 ICカード乗車券とキャンパスカードの一体化については、2006年4月に開校した立命館小学校で実現している(詳細は本誌2006年1月号p.20参照)。このケースの場合、関西の私鉄共通のICカード乗車券「PiTaPa」の裏面に、立命館小学校の児童証を印刷することが認められている。Suicaとキャンパスカードの一体化を実現するには、JR東日本の“英断”が必要になる。




本記事は日経RFIDテクノロジ2006年7月号の記事を基に再編集したものです。コメントを掲載している方の所属や肩書きは掲載当時のものです。