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 前回は,サイトや個々の画面の利用頻度によって,優先すべき機能が異なってくるんじゃないか,という話をしました。今回も引き続き,機能の取捨選択の話なのですが,前回の話題より一歩手前ともいえる,サイトの機能をシンプルに保つことについて考えてみたいと思います。つまり「そもそもその機能が必要なのか?」ということをいつも問いかけていたいよね,ということです。

 このことについて考えるうえで前提となるのは,ウェブサイトはなるべくシンプルなものが好ましい,ということです。これは,ごちゃごちゃして見づらいデザインがよくない,ということだけではありません。無駄な機能,複雑な機能はできるだけ排除して,必要十分な機能だけを用意することも「シンプル」という言葉に含まれています。そうすることで,利用者が迷うことが少ない,使い勝手のよいサイトになるはずです。

 と,偉そうに決めつけてみましたが,このことに関しては,感覚的に同意してもらえるのではないかと思います。でも,それはなかなか難しいことであり,「そうはいってもなかなかね…」とも思うかもしれません。

 まずは,シンプルにすることのメリットと,それを実現するのが難しいのはなぜか,ということをちょっと考えて見ましょう。

利用者にも開発者にもメリットがあるのに…

 シンプルにすることのメリットのひとつは,利用者が目的の機能にたどり着くのが簡単になることです。機能が増えてくると,どうしても画面はごちゃごちゃしてきやすくなります。自分のやりたいことがすぐにできない,知りたい情報に思うようにたどり着けない,というのはストレスがたまることです。あの機能,どうやったらアクセスできるんだっけ,とサイト内をうろうろした経験は,きっと皆さんもあるんじゃないでしょうか(図1)。

図1:機能が多すぎると目的の機能を見つけにくい

 実際,機能が多ければ多いほど,利用者がそのサイトにどういう機能があるのかを見渡しにくくなります。このサイト,なんだか自分にはよくわからない機能があるなあ,という気分で利用し続けるのは,あまり気持ちいいもんじゃないですよね。「使いこなせていない」という気持ちを抱きながら使い続けるのは,なかなかしんどいものです。

 一方,サイトやサービスを構築する側にしても,機能を絞り込むメリットはあります。どんなに必要性の低い機能であっても,正しく動作しない場合には直さなければなりません。用意した機能が少なくてシンプルになっていれば,トラブルやメンテナンスにかかる時間も当然少なくてすみます。「この機能あんまり使われていないのになあ」とか思いながら,コードを直したりするのは,精神衛生上あまりよくないですから。

 ほかにも,過去によく考えずにつけた機能が,本当に必要な機能を追加しようとした際に邪魔になったり,なんてことも考えられます。その結果,不具合がなかなか直らなかったり,変な実装になったりして,その結果,サイトの使いやすさを下げる要因を増やしてしまうかもしれません。

 とはいうものの,シンプルさを保つのは案外難しいものです。その理由としてまず挙げられるのは,機能の追加が,問題解決の手段としてはとても簡単だということがあるかな,と思います。

 受託開発だと,お客さんから「こういう機能がほしい」といわれると,立場上「やります」と言わないといけなかったり,自分としてはその機能がいるかどうかを判断しきれてなくても,安請け合いしてしまったりしますし。しかも,エンジニアとして打ち合わせに参加していると,お客さんの「こういうことができるか」という問いに対して,やるべきかどうかより先に,できるかどうかで答えてしまって,やらざるを得なくなったりもします。

 自社で提供しているサービスの場合でも,利用者からの「こういう機能がほしい」というフィードバックに,「簡単だから実装するか」と実装してしまうことってあるんじゃないかと思います。

 それ以外にも,エンジニアをやっていると新しいものにいつも注意を払っているので,巷で流行っている機能をついつい「面白そうだから」「やってみたかったから」と実装してしまうこともありますよね。例えばちょっと古いところで言えば,タグやAjaxを利用した何か,もしくは前回紹介したキーボードによる操作機能なんて,面白そうだしやってみたい,と思ったりしませんでした?

 世の中には機能をどんどん追加させる「わな」や誘惑がたくさん転がっていて,油断をするとサイトは必要以上にどんどん高機能化していってしまうわけです。

 あな,おそろしや。

どうすればシンプルにできるのか

 それでは,そんな無駄な高機能化を防ぐにはどうしたらいいのか,ということを考えてみたいと思います。