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平本健二氏写真
平本 健二(ひらもと・けんじ)

ウッドランド執行役員/コンサルティング事業部長

慶應義塾大学理工学研究科修了。大手システムインテグレータでシステム開発、戦略立案などに従事。コンサルティングファームや官庁を経て、現職。ビジョン構築、IT戦略、IT投資管理、人材育成からシステム立案まで幅広く取り組む。政府の推進するCIO育成、EA構築、業績測定において中心的な役割を果たしている。

■電子政府の推進は長年取り組まれてきている課題であるが、特にe-Japan戦略以降は精力的に取り組みが行われてきている。そうした中、電子申請の実現、業務・システム最適化計画の導入、CIO補佐官制度の整備が行われてきており一定の成果を上げてきている。しかし、戦略に基づき、きちんとした評価を行なうことによって、もっと効果的な推進ができるはずである。


 電子政府の「評価」の重要性の高まりを受け、e-Japan戦略では評価専門調査会が設置された。現在もそれを引き継ぐIT新改革戦略評価専門調査会の下に電子政府評価委員会が設置されている。また、電子政府を推進する各府省情報化統括責任者連絡会議(CIO連絡会議)では、8月に「電子政府推進計画」の討議をしており、この中でも電子政府達成のための施策として「費用対効果等も踏まえた成果重視施策」と「推進体制の強化」を大きな柱として強調している。よって、この短期集中連載では、成果測定の方向とその成果指標を適切に設定し効果的に運用していく体制について、現状の分析と展望を3回に分けて行うこととする。

■電子政府のこれまでの成果評価の取り組み

 まずは取り組みを振り返ってみよう。これまでも個々の事業について成果指標を付けることは当然行われてきたが、e-Japan戦略の時に評価専門調査会が設置され、初めて政府全体のIT戦略に関する本格的な評価が開始された。

 この時の成果評価は様々な観点から行われたが、「申請手続きのオンライン化率を2003年度末までに97%に引き上げる」という指標と目標に対して、オンライン化率はほぼ達成したものの、汎用の電子申請の利用率が1%にも満たなかった。これは「電子申請化率」という指標を強調しすぎたために起こった問題といえる。電子化するという成果指標自体が目的化してしまい、その効率や効果への配慮が足りなくなってしまったのである。

 このように実際の評価に課題はあったものの、評価専門調査会では、どのような成果指標を付けたら成果測定ができるかという着実な検討が行われ、評価専門調査会第四次中間報告書最終案(2006年4月)では、電子政府に関しての46の指標が提案されている。

■図1 e-Japanで検討された成果指標案--
 「戦略」から「主要成功要因(CSF)」へ、そして
 「主要業績指標(KPI)」へと展開が図られている
e-Japanで検討された成果指標案--「戦略」から「主要成功要因(CSF)」へ、そして「主要業績指標(KPI)」へと展開が図られている
出典:評価専門調査会第四次中間報告書

 ここでの指標の導出には、古典的な特性要因図が用いられ、「戦略」から「主要成功要因(CSF)」へ、そして「主要業績指標(KPI)」へと展開が図られている。さらに、計測可能性やコストを勘案し、2005年12月に行われた委員会最終報告では、「行政関連サービス提供サイトの利用状況」などの8個の成果指標について評価を実施した。しかし、その評価結果から課題解決に向けてのいくつかの提言はしているものの、CSFの評価、e-Japan戦略の評価へとフィードバックされていないのが残念である。

 e-Japan戦略に続く「IT新改革戦略」では、戦略の中で成果指標が明記されている。電子政府に関する現在の指標は以下の5つである。

  1. 申請・届出等におけるオンライン利用率
  2. 申請・届出等に申請者が要する時間・費用
  3. 政府のポータルサイトの利用件数
  4. 情報システム関係経費の削減効果、業務処理時間・定義の削減効果
  5. 公共サービスにおけるICカードの導入状況とこれを用いた公共サービスの向上の状況
しかし、この指標を見て「世界一便利で効率的な電子政府」という戦略が達成できたかどうか判断するのは難しくないだろうか?