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ITリーダーは自らの成功のために,そして企業の成功のために何を成すべきだろうか。米ITリサーチ会社であるガートナーのアナリスト,Dale Kutnick(デール・カトニック)氏が,今注目の八つの領域について解説する。(構成=ITpro)




ガートナー  アナリストのDale Kutnick(デール・カトニック)氏

 ITリーダーの皆さんが,どのようにすればCEOや顧客,市場のニーズを満足させられるか,アドバイスを差し上げたいと思います。ITリーダーといっても,CIO(最高情報責任者)だけではありません。CIOの部下の方も,CIOと同様にITリーダーとしての役目を担っています。

 IT組織は単にシステムの導入や運用管理といったことを実現するための組織ではなく,貢献する組織になる必要があります。貢献するといっても単にコストを引き下げるだけでは,リストラのリスクにさらされるだけです。CEO(最高経営責任者)をはじめとした上級幹部は,「ITは支出をカットするべき領域」と認識しています。ですから,コストカットばかりに目を向けていたら,アウトソーシングされてしまう可能性もあります。今後3,4年間はぜひ,ITによる新しい価値の創造にトライしてください。

 ITリーダーが今後3年間,つまり2007年から2009年の間に完了させたいアクションは何か。注目すべき八つの領域について,順を追って説明していきましょう。

ビジネス・インテリジェンス&情報管理

2008年までに,全社にまたがる情報活用の司令塔となるコンピテンシ・センターを設置すべき


 まずPart1の今回は,ビジネス・インテリジェンス(BI)についてご説明します。今,まさにホットになってきている話題です。

 BIは企業の中で発生している出来事を理解するためのものです。そして最終的なゴールを理解するためのものでもあります。6,7年後には「ビジネス・インテリジェンス・コンピテンシー・センター」と呼ぶべき,様々な情報を統合する組織を結成すべきです。

 皆さんがCEOをはじめとしたエグゼクティブに何を提供するのか。それは「ダッシュボード」です。企業のパフォーマンスが見てとれるダッシュボードです。様々な部門を横断的に見るマネジメントを可能にします。グローバルなビジネスであれば,国外のものも横断的に考えなければなりません。「リアルタイム・エンタープライズ」という考え方が出てきていますが,BIはそれを支える道具の一つです。

 例えば,セールスが予測通りにいかなかった。しかも20%も下回っている,などという状況は1週間後に気づくのではなく,今知りたいものです。そうすれば,この四半期が終わるまでに,何とか是正できるかもしれません。四半期末に予算を20%下回っているなんていうことが発覚したら,何もできませんよね。せいぜい,セールス担当の幹部をクビにすることぐらいしかできないかと思います。

 全体を見て,そしてマネジメントしていくことがCEOに求められます。どんな情報をエグゼクティブに提供するのかは,ビジネス戦略が分かっていなければできません。「コーポレート・パフォーマンス・マネジメント」は,営業のオペレーション,製造のオペレーションを理解し,ダッシュボードを作ることです。さらにはどの情報が重要なのかということも見分けていかなければなりません。これは,ITとは関係のないビジネスの領域です。

 一方で,あらゆるテクノロジーがここに関わってきます。データ・ウェアハウス,ビジネス・インテリジェンス・プラットフォーム,情報管理など様々な要素が必要になります。

爆発する情報の管理方法を考えよ

 今後5年以内には皆さんが取り扱わなければいけない情報量は,急増していくと思います。少なくとも10倍にはなっていくと思います。eメールもIM(インスタント・メッセンジャー)も増えます。ボイスメールもますます増えていきます。情報を戦略的なレベルで捉えなければいけません。ビジネス戦略,パフォーマンス管理をベースに,情報を管理していくのです。

 規制の問題もBIに関わります。規制当局は「Eディスカバリー」をやろうとしています。昔は「プロセス・パテント」は基本的にありませんでした。ところが5カ月程前に,「BlackBerry」を製造しているRIM(リサーチ・イン・モーション)が,NTPという法律会社に対して5億8000万ドルを支払わなければならない事態となりました。無線接続経由で電子メールをやりとりする通信手法に関係したためです。

 プロセス・パテントに絡んで,プロセスの文書化が今まで以上に重要になってきます。「3年前のeメールです。これがうちのプロセスです。3年間もやっているのだから問題ないでしょう」と使うわけです。

 関連して,情報管理のインフラが極めて重要になってきます。ビジネスのメリットを生み出し,ビジネスに貢献します。特許をしっかりディスカバリーし,それに対する防御をしていくのに極めて重要だと思います。

 例えば石油ガスの事業の中ではこんなこともあります。数年前であれば,配管の一部で何か問題があったとしたら,2,3週間かけて文書を探してくればいいわけです。ところが現在は,すぐに10年分の情報を見られるようにしなければいけません。10年分の情報ですよ! すぐに見つからなければ大問題ですので,電子化が必須です。

 最近,特許が絡んた小さな訴訟があり,証人を務めたことがありました。少し変わった情報システムの管理技術に絡んだものだったのですが,10数年前,独禁法にかかわるような訴訟があったとき以上にドキュメントやeメールを見る必要がありました。訴訟に関わった企業は,ドキュメントを探すのに5000万ドルもコストがかかったそうです。

 例えば製薬会社は情報管理にかなりの投資をしています。薬品関係の責任が大変大きいからです。

 これらの話題はコスト削減ではありません。企業の俊敏性の確保に関わる重要なテーマです。

次回は,エンタープライズ・アーキテクチャについて解説します


■ITリーダーがとるべき八つのアクション 目次

総論:ITリーダー、成功へのエール 
Part1:ビジネス・インテリジェンスと情報管理 
Part2:エンタープライズ・アーキテクチャ 
Part3:アプリケーション管理 
Part4:ビジネスプロセス改革 
Part5:IT基盤&運用 
Part6:セキュリティ&リスク管理 
Part7:ソーシング&ベンダーリレーションズ 
Part8:プログラム&ポートフォリオ管理