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ITリーダーは自らの成功のために,そして企業の成功のために何を成すべきだろうか。米ITリサーチ会社ガートナーのアナリスト,Dale Kutnick(デール・カトニック)氏が,今注目の八つの領域それぞれについて解説する。Part7では,アウトソーシングやベンダーとの関係作りについて取り上げる。Dale氏は「社内に,複数のアウトソーシング先やベンダーを使い分ける能力を確立すべき」と助言する。(構成=ITpro)


 ソーシングは,白か黒かというようなものではありません。アウトソーシングを使うのか,インソーシングを使うのかという二元論は通用しません。ちなみに,昔はそうでした。でも今は「マルチソーシング」の時代に突入しています。

 マルチソーシングというのは,アウトソーシングとインソーシングを組み合わせることです。例えば,運用,ビジネスプロセスの一部を他社に依頼し,ほかの部分は自社でやる,という考え方です。

 また,ITリーダーとして持っておくべき専門知識は,どの部分をアウトソーシングしていくのか,そしてそこの関係をどう管理していくのかということです。逆に,社内でやるべきものは何かを把握する知識も必要です。

 すべてを自分たちで構築することはできません。今後その部分は縮小していくと思います。例えば,自動車会社はマーケティングが主になると思います。そして最終的な組み立てだけをやっていく。既にそうなっているかもしれません。

 ソフトの世界でもそうなるでしょう。人件費の安いインドや中国にコールセンターが多くあります。コストカットが一番大きな理由です。アウトソースをする最初の理由はここです。ただし,ここで重要なのはやはり俊敏性です。ビジネスを十分に理解して,このコンポーネントをアウトソーシングすることで,より安く,より速く,より良くできるかどうかを考えて下さい。

 今後,HR(人事),財務,例えば請求書の処理などビジネスプロセスのアウトソーシングが広がっていくでしょう。単にそれをやるべきだ,あるいはやるべきではないと言っているわけではありません。そうした動きに備える必要がある,ということです。備えていないと3年後間,ある上級幹部があなたのところにやってきて,「なぜ何々をアウトソーシングしていないのだ」ということを言ってきます。それに答える必要があるからです。こういった機能があって,アウトソーシングではなく,このようにやっているからメリットがあるのだと明確な分析と理由を答えなくてはなりません。

ソーシング&ベンダーリレーションズ

2009年までに,複数のアウトソーシング先やベンダーを使い分ける能力を確立すべき


 マルチソーシングというのは,“内か外か”を判断する能力を備えておく,ということです。ビジネスプロセス,それに絡むITをコンポーネント化し,各部をインソースする必要,アウトソースする必要を検討し,説明できるように準備する必要があります。当然,株主に対しても説明する必要もあります。

 これがマルチソーシングのポイントです。つまり俊敏性を身に付けておくということです。ビジネスの基準に基づいて判断していく能力です。「今までこういうやり方をとってきたから」という説明では,あなたはクビになってしまいます。クビにならなくても,少なくとも昇進はできません。ビジネスの用語を使って,経営的・経済的な観点から分析し,説明しましょう。

 マルチソーシングはバランスの問題です。アウトソーシング,インソーシング,どちらも基本的には等価の選択肢です。どちらでも構わないわけですが,ビジネス的な判断が必要です。例えばIBMの幹部とランチを食べて,たまたまいい気分になったからアウトソーシングする,というのは適切な理由にはならないわけです。昔はそれでも良かったかもしれません。しかし,今後は明確で論理的な理由を述べなければなりません。

≪11月25日(土曜日)公開の次回――最終回は,プログラム&ポートフォリオ管理について解説します≫


■ITリーダーがとるべき八つのアクション 目次

総論:ITリーダー、成功へのエール 
Part1:ビジネス・インテリジェンスと情報管理 
Part2:エンタープライズ・アーキテクチャ 
Part3:アプリケーション管理 
Part4:ビジネスプロセス改革 
Part5:IT基盤&運用 
Part6:セキュリティ&リスク管理 
Part7:ソーシング&ベンダーリレーションズ 
Part8:プログラム&ポートフォリオ管理