PR

 百貨店大手の伊勢丹は2006年6月1日、新宿本店に屋上庭園「アイ・ガーデン」を開設し、無線ICタグを利用した情報提供システムを導入した。ICタグを埋め込んだ情報プレートを庭園内に設置し、リーダー機能を搭載した携帯型情報端末をプレートにかざすと、庭園内に植えてある植物に関するさまざまな情報を入手できるものである。使用するICタグシステムは、YRPユビキタス・ネットワーキング研究所が開発した。

 伊勢丹の新宿本店の屋上庭園(写真1)には、200種類以上の植物が植えられている。ICタグを埋め込んだ情報プレート(写真2)は、庭園内の11カ所に設置した。ICタグには、ユビキタス研究所が作成したコード体系「ucode」に準拠したID番号が書き込んである。情報を入手するために使う携帯型端末は、同研究所が開発した「ユビキタス・コミュニケータ」(写真3)である。

写真1 伊勢丹が新宿本店屋上に開設した「アイ・ガーデン」


写真2 ICタグを組み込んだ情報プレート


写真3 ICタグの情報を読む携帯型端末

ICタグは2.45GHz帯の製品を採用

 来場者が携帯型端末を情報プレートにかざすと、プレートの前に立ったときに見える範囲の植物の情報が、携帯型端末の画面に表示される。携帯型端末にイヤホンを差し込むと、その情報を音声で聞くこともできる。これらの情報は無線LANなどを経由して、サーバーから端末に送信する。携帯型端末は当面、伊勢丹が運営する会員制組織「アイキッズクラブ」の会員(伊勢丹のカード会員で、0~12歳の子供とその親)に無料で貸し出す。

 情報プレートに埋め込んだICタグは、2.45GHz帯の周波数に対応した製品である。携帯型端末は2.45GHz帯と13.56MHz帯の両方の周波数に対応しているが、今回のシステムでは2.45GHz帯対応のICタグを使った。

 その最大の理由は、13.56MHz帯対応の製品よりもコストが安いためである。2.45GHz帯対応のICタグは、13.56MHz帯対応の製品よりも水に弱い問題がある。しかし今回は、ICタグを埋め込んだ情報プレートを壁に張り付けたり、棒状のスタンドの上面に斜めに取り付けたりといった工夫をしたことで、水の影響を受けにくくしたという。

 伊勢丹が今回の屋上庭園を開設した目的は、顧客サービスの充実と環境保護対策の2点である。同社の武藤信一社長は6月1日に行われた庭園の開設式で、「お客様に安らぎと休息の場を提供するとともに、ビルの屋上を緑化することでヒートアイランド対策などを行い、環境に優しい百貨店を目指したい」と述べた。




本記事は日経RFIDテクノロジ2006年7月号の記事を基に再編集したものです。コメントを掲載している方の所属や肩書きは掲載当時のものです。