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1人あるいは数人のチームで製品を組み立てる生産方式。製造品目の変更が容易で多品種少量生産に向くので市場の変動に対応しやすい。

 従来の長いベルトコンベヤーを用いたライン生産方式は同じ製品を大量に作り続けるのに向いていましたが、製造品目をこまめに変更できない弱点があります。

 ライン生産方式が主流だった時代は、販売計画と製造計画を立てるサイクルはせいぜい月次と長かったので、それでも問題ありませんでした。製造品目ごとに必要量を作りだめして、順次切り替えることで、月末の必要量をそろえることができました。

 しかし、製造計画などのサイクルを月次から週次へと短縮する動きがでてきました。デジタル家電を中心に市場の競争が激しくなり、新製品の販売量があっという間に競合製品に押されて減少することが起きたり、シェア維持するため機能を向上させた製品を次々と投入して世代交代を図らなければならなくなってきたりしているからです。

 そこで、ベルトコンベヤーを使ったライン生産方式に代わり、「セル生産方式」が90年代半ばから徐々に脚光を浴びてきました。

◆効果 多品種少量生産に向く

 セル生産方式の特徴は、多品種少量生産に向いていることです。1人もしくはせいぜい数人のチームで製造できます。生産作業は構成部品を入れた部品棚が並んだ作業台で行います。部品棚を変えるだけで製造品目を変えられたり、セルの台数を調整するだけで製造量を変えられるため多品種少量生産に向いています。作業スペースもベルトコンベヤーを使用する現場と比べて狭い場所で製造できます。

 ベルトコンベヤーを使った製造方式と大きく異なるのは、作業員のスキルに頼った生産方式だということです。ベルトコンベヤーを使った方式は、作業員が脇に並んで流れてきた製品に対して1つの作業だけをこなす単能工として作業スピードの向上を競いました。セル生産では、作業員は複数の工程をこなす多能工であることを要求されます。成熟した作業者であれば、家電製品などは1人で全工程を担当し組み立てます。作業者にとっては、習熟度向上が直ちに成果に直結するので、士気も上がりスキルアップが進みやすくなります。

◆事例 多品種生産のために採用

 松下電器産業は、2001年からセル生産を取り入れています。製造計画を月次から週次に切り替えるためには、こまめに製造品目を変えられる体制が必要だからです。MDプレーヤーなど小型製品は、部品棚がたくさん並ぶセルで作業者が1人で組み立てて完成させています。炊飯器や冷蔵庫といった、大きく重い製品については、これまで使用していたベルトコンベヤーを移動時に活用するといった再利用もしています。

参照:日経情報ストラテジー2006年7月号「特集2・検証 松下電器産業のIT経営革新」