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NECのITプラットフォームBUは,企業が使うサーバー機の開発,さらには運用・管理用ソフトウエアなど,ハード/ソフトを一体で提供する組織。各業種に対してソリューションを提供する他のBUと協力し,製品を提供する役割を担う。NGNとITプラットフォームBUはどうかかわっていくのか。同BU責任者の丸山好一執行役員常務に聞いた。

NGNとITプラットフォームBUのビジネスはどのように関係するのか。

 NGNはIPベースのネットワークで,従来の電話網以上にさまざまな機器が接続されるようになる。IP網という点では今のインターネットも同じ。だが,今のインターネットは,トラフィック,トランザクションが増え続ける一方だ。このままではインターネット接続事業者などが,それらを処理できるレベルを超えてしまう。そこで社会的にも安定したネットワークを提供しなければならない,というのがNGNの一つのテーマだ。

 NGNでサービスを提供するために必要なのがサービス基盤。この基盤を作り上げるとき,新しい技術やバックボーン用の製品が必要となる。コンピュータ系の技術を担うITプラットフォームBUは,そこで必要となるサーバー機などを提供する。

 そしてサービス基盤が整備されると,その上でさまざまなサービスが花開く。そのサービスを運営するには,ユーザーには直接見えないが,多くの処理をするサーバーが絶対に必要となる。そのビジネスを我々は取りたい。

サーバー機の市場には多くのメーカーが参入している。その中でNECならではの強みは何か。

 まず,これまでの実績が大きい。大規模システムの例として,NTTドコモのiモード用ゲートウエイ・システム「CiRCUS」がある。CiRCUSは,約400台のサーバーで構成するオープン・ミッション・クリティカル・システム(OMCS)。我々の製品をベースに運用しており,これまで一度もダウンしたことがない。

 このCiRCUSは,1日あたり65億件のトランザクションを処理しており,365日24時間無停止で運用している。NECでは,テロや地震などの災害に備えたCiRCUSのバックアップ・センターの構築・運用も請け負っている。実際,災害があっても5分以内にバックアップできる。こうした大規模システムで得た高信頼,高性能,高スケーラビリティの実績がNGNでも生かせられる。

 さらにネットワークの広帯域化が進むと,非常に多くのサーバーを一カ所に集めて運用するデータセンターなどのニーズも今以上に高まる。こうした市場に対して,従来からブレード・サーバーやラックマウント・タイプのサーバーをNECは提供している。ここでカギとなるのが,省電力,省スペース,保守性となる。これらの技術もITプラットフォームBUは持ち合わせている。

現在,通信事業者向けのサーバー機の規格としてAdvancedTCA(telecom computing architecture)の標準化が進んでいる。標準化が進むと,他社との製品の差別化が難しくなるのではないか。

 ATCAは主にフォームファクタに関する規格で,シャーシやコネクタ形状などを規定しているだけだ。その中に,マザーボードをどう実装するか,熱処理をどうするかといった点で差別化が図れる。例えば基板一つとっても,パターンの引き方,基板上の配線の太さ,多層配線,配線が重なった際の影響を考慮した設計など多岐にわたる。NECはサーバー機「Express 5800」を10年間提供し続けており,これらの技術も保有している。

 無論,標準化が進むと1社の製品だけでなく,複数メーカーの製品を組み合わせて使うこともあるだろう。そのときでも,それらをどう管理するのかという点が重要になる。信頼性を担保して,運用管理者にいかに負担をかけないシステムを構築するか,というノウハウが重要となる。

 こうした運用・管理を行うにはハードウエアだけでなく,ソフトウエアも重要だ。NECは昔からハードウエアに近い部分のソフトウエア,ミドルウエアの高い技術力を誇っている。たとえばダウンタイムを感じさせないように,瞬時に処理を別の機器に切り替える技術などだ。標準化が進んでも,こうした技術力やノウハウが差別化のポイントとなる。

コンピュータ系の製品は一社だけでなく,複数のメーカーの製品を組み合わせた“水平分業”モデルになっている。それが高い信頼性やスケーラビリティを維持する際のネックにはならないのか。

 例えばNTTドコモの「CiRCUS」で使っているハイエンド・サーバー「NX7700」はいくつかのOSに対応しているが,CiRCUSでは米ヒューレット・パッカード(HP)のUNIX系OS「HP-UX」を採用している。このHP-UXをNECが特別に改造することは許されていない。

 ただし,高信頼性実現のために不足している機能は,HPのソフト開発部隊に要求して機能を追加している。HPとは良好な関係を築いており,技術開発部隊が各レベルでコミュニケーションしている。サーバー機のCPUもインテル製だが,メモリー制御やI/O制御などを担うチップセットはNECが独自で設計し,高信頼,高性能,高スケーラビリティを実現している。

 実際,コンピュータは水平分業で,製品化にいたるまで多くのメーカーがかかわっている。とはいえ顧客が求めるのは,個々の製品だけでなく,サービスを提供する基盤といったトータルな環境。NECは,こうしたシステム全体を見通した上で可用性や信頼性を訴求していく。