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ビフォー・ アフター

 関西地区を中心に131店舗のスーパーマーケットを展開、本拠地の和歌山県内では26%のシェアを持つオークワが、収益改善に取り組んでいる。下支えしているのが、発注端末であるGOT(グラフィック・オーダー・ターミナル)である。2002年11月から試験導入を開始し、2004年2月までに約10億円をかけて全店に700台配備した。これまで発注担当者の経験と勘に頼っていたためバラつきが生じていた。GOT端末を導入することで、全員が同じ判断材料(情報)を基に発注できるようになった。

 まず牛乳や豆腐などを扱う日配部門に導入し、売り上げに占める割引販売と廃棄した割合が2003年度の3.9%から2005年度は2.7%まで削減した。導入効果が見られたため、今年から総菜部門にも対象を広げている。今年度は合計2億2500万円のコスト削減効果を見込んでいる。


本社近くにある24時間営業の中島店(和歌山市)
本社近くにある24時間営業の中島店(和歌山市)

●3年間で見切り・廃棄率が3割削減
●3年間で見切り・廃棄率が3割削減

 オークワの本拠地における力は絶大だ。和歌山県内の消費市場におけるシェアは26%にも上る(同社調べ)。全131店舗の多くを和歌山や奈良などに集中出店。そしてその地盤をIT(情報技術)の活用で下支えする―これが同社の戦略だ。

 同社のカード会員数は187万人で、和歌山県内では2人に1人という入会率。ここで得られる購入金額データに基づき、特典を付与する。また、「セルフレジ」も本格導入した。顧客自身がタッチパネル式のレジで精算するシステムで、レジの待ち時間を解消できる利点がある。

 ここまでIT活用に積極的なのは全国チェーンでもそうない。それこそが固定客の定着に結びついたオークワの強さといえる。

 オークワが次に着目したのがITを活用した廃棄ロスの抑制だ。本業のもうけを示す経常利益率を現在の2.6%から近いうちに4%へと向上させることを目指している。そこで、2002年11月から約10億円をかけて全店に700台のGOT(グラフィック・オーダー・ターミナル)と呼ぶ発注端末を導入した。

 効果はすぐに表れた。正価で売れず、割引販売や廃棄せざる得なかった割合が売上高の3.9%から2.7 %へと3年間で約3割削減した。

経験と勘に頼った発注を改善

 GOT端末には発注数を考えるのに必要な情報を流している。その種類は大きく3つある。

 1つが翌日の顧客数を左右する天候といった「先行情報」、2つがチラシや日替わり商品になっているかどうかといった「商品情報」、このほかに過去1週間の販売数といった「過去情報」がある。細かい情報を加えれば、10種類以上の情報が詰め込まれている。

 システムが必要だった背景には、これまでの発注業務は担当者の経験と勘に頼っていたために発注精度にばらつきが生じていたことがある。従来から提供していた情報は、昨日の発注数と翌日の天気予報しかなかった。発注数に対していくつ売れたのかといった実売数など、発注数が正しかったのかどうか判断できる情報が不足していた。

 発注にかけられる時間も短い。1人当たり500~1000品目の発注をこなさなければならない。考えられる時間が少ないために、「常に同じ数量を発注している店舗もあった」と情報システム部の原田昌伸ゼネラルマネージャーは言う。

発注端末を考える道具に

 オークワでは、GOT端末を発注担当者の「考える道具」と位置づけている。一般的にGOTを活用したスーパーマーケットでは、翌日の来客数を予測し、PI(Purchase Index)値(顧客売り上げ点数を客数で割ったもので顧客の支持率が分かる)に基づいて発注数の推奨値を表示している。

 発注担当者は、その推奨値を見て自動発注のように発注業務をこなしているケースが多い。原田マネージャーはあえて、推奨値を表示することを採用しなかった。発注担当者が自分で考えないで発注してしまうからだ。発注担当者に考える力がつけば、冷夏など過去情報が使えない異常気象になった場合でも対応できる。

 考える道具と位置づける体制で廃棄率などを低下させるには、発注者の教育が鍵を握る。だが、当初からスムーズに移行したわけではなかった。「ベテラン社員ほど自らの勘を活用した発注をしたがった」と振り返る。新人であれば、経験が浅いのでGOT端末に提示される情報をうまく活用する。これに対して、ベテラン社員は自らの経験のほうがよいと、なかなか自分のやり方を変えようとしなかった。

●判断材料をGOT端末に集約し、新人でも豊富な情報を基に発注できる
●判断材料をGOT端末に集約し、新人でも豊富な情報を基に発注できる
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後編へ続く )