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日本航空の執行役員 ITサービス企画室室長 齋藤 俊一氏

 昨年から続いた安全に関するトラブルが業績に尾を引く日本航空。信頼回復に向けて、2010年までの5年間に430億円をIT(情報技術)投資に投じ、そのうち270億円を安全対策のシステム投資に充てる計画に取り組んでいる。その陣頭指揮にあたるのがCIO(最高情報責任者)である執行役員の齋藤俊一ITサービス企画室室長である。

 齋藤室長は、マイレージ部長や商品開発部長などマーケティング畑を歩んできた。同社のビジネスクラス(エグゼクティブクラス)のシート「シェルフラット」開発時には、シート生地の候補が3種類あったため3日間泊まり込んだエピソードがある。「飛行機の座席はベットと違い洋服を着て寝るので、感触は実際に試してみないと分からなかったから」だと振り返る。こうした「現地現物」を実践する齋藤室長がCIOとして大事にしているのが、コストの可視化(見える化)である。「システムは道具なので、ビジネスにいかに役立っているかが重要」だと話す。システム投資の効果を金額に換算するなどして投資効果を明確にするように心がけているという。

 目下取り組んでいるのが、アメリカン航空など8社が参加する「ワンワールド」への加盟に向けた作業である。マイレージ会員の情報を相互で確認できるようにしなければならないなど情報システムが担う領域は大きい。「加盟に向けてメドはついている」と話す。投資対効果をきちんと測りながら、ビジネスに役立つシステム構築に取り組む。

Profile of CIO

◆経営トップとのコミュニケーションで大事にしていること
・西松遙社長は財務畑の出身で、私も情報システム部門の生え抜きではない。専門用語をあまり使わず、ビジネスにどう役立っているのか金額など数値で示しながら具体的に説明することが多い。最近導入した機材最適配置システムも、国内際ともに月に1億円以上の収支改善効果があった。

◆ITベンダーに対して強く要望したいこと、IT業界への不満など
・人材育成に危機感を持っている。企業にとって情報システムは競争力の源泉ともいえる重要な役割を果たすと考えている。だが現実に目を向けてみると、若いの人の間では、システム開発の現場を「3K職場」だとして敬遠されがちだと聞いている。長い目でみれば日本企業の競争力にも響いてしまうのではないかと危惧している。

 大学など教育機関でグローバルで通用するスキルを身に付けられる教育体系の整備やグローバルで統一した能力基準を作り、自らのレベルが分かる仕組みなどが必要だと考えている。採用する側もこの能力基準に応じた給与を支払うなど、頑張れば報われる仕組みづくりが必要だと感じている。

◆普段読んでいる新聞・雑誌
・日本経済新聞、朝日新聞
・日経ビジネス

◆最近読んだ本
・ウェブ進化論(梅田 望夫著、筑摩書房)
・ミッション(鳥谷 陽一著、プレジデント社)
・「愚直」論(樋口 泰行著、ダイヤモンド社)
ジェフェリー・アーチャーやアーサー・ヘイリーなどが好みだが、最近は仕事関連ばかりになっている。

◆仕事に役立つお勧めのインターネットサイト
・ITサービス企画室の若手が中心となって毎週発行する、部内向けメールマガジンを参考にしている。他社事例などITの動向がうまくまとまっているので、これだけでおおよその動きはつかめている。

 編集を担当する若手には、情報収集の能力がつくことを期待している。さまざまな新聞や雑誌のほか白書など膨大な情報のなかから探すので大変だろうが、私にとっては情報収集する時間がないので非常に役立っている。

◆情報収集のために参加している勉強会やセミナー、学会など
・JUAS(日本情報システム・ユーザー協会)の常任理事を務めている。3カ月に1度に会合があり、異業種のCIOが集まるので勉強になる。

◆ストレス解消法
学生のころはスキー部の主将で、いまは年間15回ほど行くゴルフ。プライベートで行くゴルフが好きで若い人と回り、負けないくらい飛ばすことが楽しみ。