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写真1 ヤフー デジタルホーム事業室の坂東浩之室長
写真1 ヤフー デジタルホーム事業室の坂東浩之室長

 2006年9月には,アクティブなユーザーIDが1705万,総ページビューは333億500万に達したヤフー。この2~3カ月で今後のソフトウエア・サービスを左右するであろう新機軸を打ち出した。その一つはCGM(consumer generated media)。コンシューマであるエンドユーザーがコンテンツを作り出すサービス形態である。ブログやSNSが該当するが,既に多くのサービスがひしめき合い,数日おきに新サービスのニュースが飛び込んでくるほどの勢いだ。ここにヤフーも注力する姿勢を明確にしたのは自然な流れだろう。

 注目したいポイントはもう一つある。同社の井上雅博代表取締役社長が10月の「CEATEC JAPAN 2006」で初披露した新構想「Yahoo! Everywhere」だ。

家電でサービスを使える環境を整備

  ヤフーがこの新構想で目指すのは,ユーザーがヤフーのサービスと接することができる場所や時間の拡大にある。現段階で同社のサービスを使えるデバイスはパソコンと携帯電話。それだけでも膨大なユーザー数を誇るが,「調査によるとユーザー1人当たりのインターネット利用時間は平均で1カ月に18時間。まだ短いと感じる。生活時間のあらゆるシーンで当社のサービスを使ってもらえる状況作りを目指す」とデジタルホーム事業室の坂東浩之室長(写真1)は話す。

 そこで同社が白羽の矢を立てたのは家電である。あらゆる家庭が持つテレビ,自動車に装備されたカーナビなどが,今後続々とネットワークにつながりだす。こうした家電からヤフーのサービスを使えるようにすることが狙いだ。しかし現在のWebブラウザで利用するサービスが,そのまま家電に適用できるわけではない。Webブラウザを搭載しないネットワーク家電の登場が予想されるからだ。

 そこでヤフーは二つの策を講じる。一つはサービス基盤への対策。XML形式でデータを交換する「Webサービス」に対応させる。現在はHTMLで情報を出力すれば済むが,今後デバイスが多様化するとHTMLだけでは対処しきれないと見たためだ。もう一つは「Digital Home Engine」(DHE)と呼ぶWebブラウザ非搭載の機器に向けたソフトウエア・モジュールの開発だ。このモジュールは,ヤフーのWebサービスにアクセスして取得したデータを,AV家電が今後続々と対応していく予定のDLNA(ネット家電を制御する仕組み)に変換する。これでユーザーは,各家電に適した形でヤフーのサービスを使える。

「掃除機でもヤフー?」

図1 Yahoo! Everywhereの資料に描かれたDigital Home Engineを搭載した掃除機のイラスト
図1 Yahoo! Everywhereの資料に描かれたDigital Home Engineを搭載した掃除機のイラスト

  構想が戦略に変わり実サービスが見えてきた暁には,ヤフーのサービスは大きな変貌を遂げるはずだ。例えば同社の広告は,今のWebサイトに掲示するものから変わるかもしれない。この手法はWebブラウザを搭載しない機器には通用しないためだ。またDHEはヤフー専用としない意向。「やたらと多くのソフトウエア・モジュールを家電に載せるような事態にならないよう,今回構築する仕組みはクローズにせず,(サードパーティなど)ほかからも使えるようにしないと駄目だと考えている。これは先頭を切った者の責任だ」(坂東室長)。

 サービス内容も,今のヤフーからは想像だにできないものとなる可能性が高い。同社のプレゼンテーション資料には,DHEを搭載した掃除機の絵が描かれている(図1)。「誰かがアイデアを持ったときに実現できるものを用意しておくことが大事。勝手に動いてくれるロボ掃除機があるかもしれない」(坂東室長)と,サービスの広がりをイメージしたものとする。今後のヤフーのサービス展開は,ヤフー自身すら想像しない方向に向かうのかもしれない。