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 「Linuxの標準化や実装など技術面でヒューレット・パッカード(HP)と協力することもあるよ」。

 米IBMでLinuxとオープンソース関連事業を担当する、スコット・ハンディ副社長は、サラリといってのける。新たなライバルとして伸長してきたHPと、手を組むことがあるというのである。

 
  IBMのスコット・ハンディ副社長 ワールドワイド Linux/オープンソース担当
 これもすべて、IBMのソフトウエア戦略をスムーズに進めるためだ。IBMはミドルウエア製品を中心とするソフトウエア企業を買収するのと同時に、オープンソースのプロジェクトに積極的に参加している。

 IBMはオープンソースのコミュニティで開発したソフトウエアを、自社の製品やサービスに取り込んでいる。同時に、改良したコードをオープンソースのコミュニティに環流することで、コミュニティに貢献している。

 さらに、オープンソースのコミュニティにおけるプレゼンスを高めるため、様々な施策を打っている。中でも力を入れているのが「技術の寄贈」だ。有名な例が、オープンソースの統合開発環境の「Eclipse」である。IBM社内のアプリケーション・サーバー開発ツールであったものを、2001年にオープンソースのコミュニティに寄贈した。

 これによって、Eclipseを利用したツールや、Eclipseに機能を追加するモジュールを開発する企業が続々と現れた。IBMは自社技術をオープンソースのコミュニティで広く使ってもらうことに加え、外部の力で機能を拡張してもらうことに成功した。

 EclipseはWindowsを擁するマイクロソフトを牽制する役割も担う。「Eclipseは、Windowsだけではなく、LinuxやMacintoshで稼働するマルチプラットフォームのアプリケーション開発が容易」(ハンディ副社長)だからだ。

オリジナル技術のデファクト化を狙う

 IBMは、オープンソースの「デファクトの先頭に立つ」ことを狙っている。そうすれば、ユーザーへのソリューション提供で優位に立つことができるという算段だ。

 例えば、IBMの研究所で開発した医療情報の交換アプリケーションをオープンソースのプロジェクトに寄贈している。医療機関同士をつないで、情報を交換するためのアプリケーションである。医療業界の標準をIBMがアプリケーションに実装したものだ。「業界の効率を高めるために寄与する」(ハンディ副社長)。同時に、医療業界へのソリューション提供で優位に立という狙いもある。

 IBMが参画しているオープンソース・プロジェクトは約150もある。「もっと参画したいが、絞りこんでいる」(ハンディ副社長)。それでもこの数だ。これらのプロジェクトでプレゼンスを保ち、オープンソースをうまく活用していけるかどうかで、IBMのソフトウエア事業の将来が左右されるだろう。