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 経済産業省は2006年7月1日、5円で販売できるUHF帯無線ICタグ「響タグ」をコミックの製本時に装着する公開実験を、図書印刷の沼津工場(静岡県)で行った。製本前の背表紙の裏側にICタグを張り付け、それを200℃近くに加熱したのりで本体に張り付けるといった実際の工程の中で、ICタグが破損しないかどうかをチェックした。実験の結果、ICタグの破損はほとんど起こらないことが確認され、コミックへの装着に関する技術的な課題はほぼ解決できる見通しとなった。

写真1 背表紙の裏に張り付けた響タグ

 無線とじのコミックの場合、製本工程は次のようになる。表紙を本体にのりで張り付け、背表紙側を除く三方を裁断し(沼津工場では6冊単位)、カバーをかけるというものだ。沼津工場ではどの工程も自動化されており、ICタグは途中で高温や衝撃にさらされる。

 実験ではどの工程で破損が起こり得るかを調べるため、製本機のコンベア上などにリーダーを設置し、表紙ののり付けのあと(1冊ずつ)、三方裁断のあと(6冊ずつ)、カバーかけのあと(15冊ずつ)などでICタグが読み取れるかどうかを確かめた。詳細な分析結果は現在まとめているところだが、ICタグの破損はほとんど発生しなかったもようである。出版業界では2004年度に、とじ込みハガキにICタグを挟み込んだ形で製本する実験を行ったが、そのときの破損率が約4%に達し、そのままでは実用化が困難だった。今回は格段に信頼性が上がったとみられる。なお響タグはこれまで3回の試作品を開発しているが、実験では2次試作品を約3500個、3次(最終)試作品を約1500個使い、より性能が高い3次試作品を中心に評価した。

 実験に使った製本機の場合、1時間に1万冊製本でき、コンベア上でコミックが1冊ずつ高速に移動する。それでもコンベアに設置したリーダーは、公開実験で筆者が見た範囲では、漏れなく読み取っていた(写真2)。カバーを付けたあとに15冊を一括読み取りした場合も同様だった(写真3)。

写真2 表紙をのり付けした後1冊ずつ読み取っているところ

写真3 カバーを付けたあと15冊を一括読み取りしているところ

ICタグの張り付け方法に課題