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 通信事業者が進める「NGN」(次世代ネットワーク)で,最大の目玉となるのはエンド・ツー・エンドの帯域保証機能である。

 これは,あるアプリケーションが10Mビット/秒の帯域利用を要求したら,そのアプリケーションの利用中は確実に10Mビット/秒の伝送速度を保証するといったもの。帯域保証時にはユーザーへの課金が発生すると予想される。ただ,エンド・ツー・エンドの帯域保証はベストエフォート型のインターネットでは実現不可能なものだ。課金を伴うとしても,“NGNらしさ”が際立つ機能である。

 帯域保証は通信のリアルタイム性が要求される動画配信サービスでの利用が想定される。サービス事業者向けの動画配信サーバー・ソフト「StreamPro」(写真)を開発・販売するNECにとっても,帯域保証が可能なNGNへの期待は大きい。

写真●StreamProによるストリーミング動画配信例
写真●StreamProによるストリーミング動画配信例

 StreamProの“売り”の一つは,現時点で最高画質の動画形式である「H.264ハイプロファイル」のストリーミング配信にいち早く対応したことだ。同形式であれば「1080i」や「720p」といったHD(High Definition)画質の動画を8M~12Mビット/秒程度の帯域で送信できる。

トラフィックの揺れを±20%に抑制

 NECの藤堂康一・第一コンピュータソフトウェア事業部グループマネージャーによると「H.264やMPEGの動画を普通に送信するとトラフィックに大きな揺れが生じる」という。H.264やMPEGなど現在主流の動画形式は「Iフレーム」「Pフレーム」「Bフレーム」の3種類のデータで構成される。Iフレームのサイズは,PやBフレームと比べて突出して大きい。したがって,Iフレーム送信時はトラフィックが跳ね上がる。

 そこでStreamProは各フレームの送信タイミングをミリ秒単位で制御することで,トラフィックの揺れ幅を±20%程度に抑制する「シェーピング機能」を実装した()。「NGNではお金を払って帯域を確保するからこそ,いかに帯域を有効活用するかが重要になる」(藤堂グループマネージャー)。

図●動画のトラフィックを平準化するシェーピング機能
図●動画のトラフィックを平準化するシェーピング機能

 トラフィックの揺れ幅が小さければ,確保すべき帯域が正確に分かる。必要な量よりも広く確保し過ぎて帯域の利用効率を下げたり,十分な帯域を確保せずにパケット・ロスによるコマ落ちを生じさせたりといった事態を防げる。StreamProでは,10Mビット/秒のビットレートでエンコーディングしたH.264ハイプロファイル動画の場合,12Mビット/秒の帯域を確保すれば,途切れることなくストリーミング配信できるという。

若い世代は「ベストエフォートでもいい」

 だが動画配信の場合,NGNの帯域保証機能がユーザーからどの程度必要とされているかが,まったく不透明だ。

 NECも「若い世代には『ベストエフォートでもいい』と考えるユーザーが多いのは事実だろう。ベストエフォートの環境に慣れたユーザーに対してNGNのメリットを訴求するのは難しい面もある」(藤堂氏)。インターネットで「YouTube」などの動画を日々視聴している世代に,NGNの魅力をアピールするのは容易なことではない。一方,動画のダウンロード販売型サービスとの競合もある。そもそも「コンテンツそのものへの課金には,かなりの抵抗感があるだろう」(藤堂氏)。

 そこで「GyaO」のようにCMを挿入し,エンド・ユーザーがコンテンツやNGN網に対して直接お金を払わなくても済むビジネス・モデルが考えられるという。ほかにも,NGNの他サービスの中に動画配信を組み込み,動画配信そのものへの課金が直接的には見えないようにするモデルもあり得る。

 ただ,「コンシューマ向けの動画配信サービスでは,先立つものは結局コンテンツ。本当に見たいコンテンツであれば『ベストエフォートで時々途切れる動画を見るよりも,NGNで絶対に途切れない動画を見たい』との要求が生まれるはず」(藤堂氏)。NGNの動画配信サービスでNGNの高品質なネットワークを生かすには,それにふさわしいコンテンツが必要になるだろう。