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 早いもので2006年ももう年の瀬。一足先に“年末モード”に入った米メディアでは,特集を組んでこの1年を振り返っている。それらを見ていると,2006年はIT業界にとって,とても一言では言い表せない年だったように思える。

 パソコン分野では,Apple ComputerがIntelプロセサ搭載への移行を実現したほか,映画コンテンツのオンライン販売市場に参入した。ネット業界ではいわゆる「Web 2.0」のサービスが百花繚乱。YouTubeの台頭によって大手企業も揺れ動いた。

 GoogleによるYouTubeの買収に代表されるように,M&Aも盛んに行われた。Microsoftについては,Novellとの提携や,Windows Vista,IE 7のリリース,そしてBill Gates氏の引退宣言など,時代の節目ともいえる発表が相次いだ――。

 本コラムの今年最後の記事となる本稿では,2006年のIT業界の動きをまとめた米メディアの記事などを読み解きながら,筆者の主観を交えて,この1年を振り返ってみたい。

次々飛び出したAppleの新戦略

 米Apple Computerが,同社初のIntelプロセサ搭載のMacintosh(Intel Mac)を出荷したのは今年はじめのこと(関連記事)。同社のIntel Mac化計画は,当初の予定より半年前倒しされた。まず「Intel Core Duo」を搭載した一体型デスクトップ機「iMac」を1月10日に出荷。1カ月後には同プロセサ搭載のノート上位機種「MacBook Pro」,その後,小型デスクトップ機「Mac mini」,ノートの下位機種「MacBook」と矢継ぎ早にIntelモデルを投入。全パソコン製品ラインのIntel化をあっという間に成し遂げた。

 Appleは4月にIntel Mac上でWindows XPを動かす「Boot Camp」ベータ版の無償公開を開始(関連記事)。その後2度のアップデートを経てMacとWindowsの互換性をいっそう高めた(アップルコンピュータのBoot Campページ)。こうしてかつての宿敵「Wintel」に大きく歩み寄る戦略をとり,2006年はAppleにとって自らが大きくスイッチ(移行)した年となった。InfoWorldの記事では,そうした施策が「Appleの製品ラインに息吹を吹き込んだ」と分析している。

 Appleは直近の2006会計年度第4四半期決算で,Macの販売台数が前年同期比30%増の161万台,純利益が同27%増の5億4600万ドルになったと報告した(関連記事)。これらの好業績は,同社の戦略が奏功した結果と同記事は述べている。

 そのAppleが9月に始めたのが,映画コンテンツのダウンロード販売である。時を同じくして,従来製品より明るいカラー・スクリーンを搭載した新型「iPod」を投入。「iTunes Music Store」を「iTunes Store」に改称し,取り扱うコンテンツを従来の音楽/テレビ番組から,ハリウッド映画にまで拡大した(関連記事)。

 Appleはネット/コンテンツ事業においても新戦略を打ち出したわけだが,これは同社にとって序章に過ぎないようだ。Appleはダウンロードした映像コンテンツを,HDMI(High Definition Multimedia Interface)対応テレビに映し出せるようにする機器「iTV(開発コード名)」を2007年春に発売する。テレビとこのiTVを接続し,iTVとパソコン間は無線接続する。これにより,ネットからダウンロードした高精細の映像コンテンツをテレビで楽しめるようにする(関連記事)。

 Intel Macへの移行が完了した次は,家庭のリビングルームへの進出を狙うApple。しかしこの市場には,CinemaNowなどの競合企業が多数存在する。2007年のデジタル・コンテンツ市場は,ますますし烈な競争が繰り広げられるだろう。

映像の重要性を示したYouTube

 2006年は,ネットにおける映像コンテンツの重要性がかつてないほど認識された年といえるだろう。それを象徴するのが,YouTubeやMySpace.comに代表されるネット・サービス。とりわけYouTubeはこの1年で大きな躍進を遂げた。YouTubeの創業は2005年2月。正式サービスを始めたのは同年12月。しかし今や,1日に6万5000本の映像コンテンツがアップロードされ,1日当たりの映像再生回数は1億回を超えた。ユーザー数は700万人を超えているという。

 米国のテレビ・ネットワーク大手は今年,この巨大ネット・サービスにとてつもない可能性――広告効果――があると判断。YouTubeは2006年半ばにNBCやFox Broadcasting,CBS,レコード・レーベルのWarner Bros. Recordsなどと契約を結んだ。これらコンテンツ・ホルダーはYouTube内にチャネル・ページを設け,自社コンテンツを宣伝するために,番組のプレビューや音楽映像の配信を開始した。実際,その効果が上がっているという(関連記事)。

 10月には,このYouTubeをGoogleが異例の金額16億5000万ドル(約2000億円)で買収した(関連記事)。米メディアでは「(この買収は)Web 2.0が進展していくなか,(ネットにおける)映像コンテンツの重要性が確認されたことを意味する」などとし,今年の象徴的な出来事としてレポートしている(掲載記事)。