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写真 NNTTドコモの坂口昌平マルチメディアサービス部EC戦略担当部長
写真 NNTTドコモの坂口昌平マルチメディアサービス部EC戦略担当部長

 「おサイフケータイは2007年に転機を迎える」--NTTドコモでおサイフケータイを統括する坂口昌平マルチメディアサービス部EC戦略担当部長は自信を見せた(写真)。おサイフケータイは2004年に鳴り物入りで登場したものの,街なかで利用者を見かける機会がいまだ少ない。しかし,この状況が2007年から大きく変わっていくというのだ。

 なぜ,2007年に転機が訪れるのか。それには三つの理由がある()。

 一つは端末の普及が進むことだ。NTTドコモの予測では,2007年度末にはおサイフケータイ機能を搭載した端末の普及台数が,NTTドコモ,au,ソフトバンクの合計で3500万~4000万台になる見込み。現行のアクティブ・ユーザー率(おサイフケータイ機能搭載の端末を所有するユーザーのうち,実際におサイフケータイ機能を利用する率)である25~30%から計算すると,2007年度中にアクティブ・ユーザー数1000万に手が届く。

 NTTドコモの坂口担当部長によると,この「アクティブ・ユーザー1000万」という数字が携帯電話サービスでは一つのポイントになるという。「iモードも1000万を超えたころからスパム・メール問題が出てきた。多数のユーザーを持つ,宣伝効果のある媒体と見なされたからだ」(坂口担当部長)。

おサイフケータイの利用可能な場所が大幅増

図 三つのポイントでおサイフケータイはより使いやすくなる
図 三つのポイントでおサイフケータイはより使いやすくなる
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 二つめは,利用できる場所が増えること。2007年末までに,全国のコンビニエンスストア,大手スーパー,関東の交通機関など生活に密着した場所の大部分がおサイフケータイによる電子決済に対応する。大手コンビニでは,am/pm,サークルK,サンクス,ポプラなどが既に全店舗でおサイフケータイを利用可能。ローソンは2007年3月末まで,ファミリーマートは2007年春までに全店舗でおサイフケータイを利用できるようにする。ミニストップ,ジャスコなどを擁するイオン・グループでは,ミニストップが2006年11月末に一部店舗で対応を開始し,2007年1月からはジャスコなどの総合スーパーでも展開を開始する。

 2007年春には,セブン&アイ・ホールディングスが,セブン-イレブン全店で独自の電子マネー「nanaco」(ナナコ)の運用を開始する。その後,2007年度中にイトーヨーカドー・グループやグループ外の1万店舗以上に導入予定だ。当初はFeliCaカードのみで展開するが,2007年春のサービス開始後,早い段階でおサイフケータイにも対応するとしている。また,2007年秋以降ほかの電子マネーや電子クレジットへの対応も検討する予定だ。

 交通機関では,2007年3月に関東の鉄道,バス,タクシーがプリペイド型の運賃決済サービス「PASMO」(パスモ)を開始する。このサービスは,JR東日本の「Suica」と運賃決済,電子マネーの両方で相互利用できる。そのため,関東の交通機関の多くで携帯電話だけで乗降車が可能になる。

最新機種は持ち歩ける“カード”が3倍に

 三つめは,携帯電話に内蔵するモバイルFeliCaに対応した非接触ICチップのメモリー容量が増えることだ。

 おサイフケータイでは,電子マネーやポイントカードなどのICアプリをインストールするたびに,「共通領域」と呼ばれるメモリーを消費するが,これまでは約5Kバイトしか用意されていなかった。そのため,代表的な決済サービスであるEdy,モバイルSuica,iDをインストールするとメモリーがほぼ満杯。それ以外には,ほとんどアプリケーションを追加できなかった。

 こうした状況では,ユーザーはポイントカードなど各店舗が独自に用意するサービスを利用しづらい。せっかくおサイフケータイを使うことでメリットがあるにもかかわらず,その効果を十分に享受できない可能性があったのだ。店舗側にとっても,せっかく用意したアプリケーションをインストールしてもらえない可能性がある。これでは,独自サービスを開発する意欲がそがれてしまう。

 しかしこの状況も変わる。NTTドコモは2006年秋以降に発売した903iシリーズから新バージョンのFeliCaチップを搭載。メモリー容量をおよそ3倍の約16Kバイトに増やした。。「10~15枚のカードは余裕を持ってインストールできるようになる」(NTTドコモの坂口担当部長)。現時点ではNTTドコモの903iシリーズしか対応端末はないが,au,ソフトバンクモバイルが追従するのもそう遠くないとみられる。

 おサイフケータイ普及台数の増加,利用可能な店舗や交通機関の増加,端末のメモリー容量の増大。これら三つの要素で,おサイフケータイはユーザーにとって利用しやすいものへとなっていくだろう。ユーザーが増えていけば,企業がマーケティング・ツールとしておサイフケータイを取り込む価値が増していく。こうしたスパイラルに入っていくことで,おサイフケータイの急拡大が始まる--。携帯電話事業者,電子マネー事業者,システム・インテグレータさらにはおサイフケータイを活用するユーザー企業も,こうした普及シナリオを描き,それを実現すべく2007年に賭けている。