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ネットスクリーンやカグールなどを買収してIPネットワーク製品の陣容を固め,いまや有力ベンダーに成長したジュニパーネットワークス。NGNという大波が,まさに自社のホームグランドにやってくるのをどう見ているのか。ジュニパーネットワークスの大須賀雅憲 代表取締役に聞いた。

NGNをめぐって,多くの企業がビジネス・チャンスと捉えています。ジュニパーネットワークスはどう見ていますか。

大須賀 雅憲氏

 ある企業は「ユビキタス社会の到来」と言ったり,ある企業は「通信と放送の融合」にフォーカスしたりとさまざまな企業がいろいろな切り口で,NGNを見ていると思います。それだけ新しいビジネスに対する期待が大きく,インターネットや携帯電話の普及に匹敵する大きな変革であることは間違いないでしょう。

 NGNは広帯域でQoS(サービス品質)制御ができて,安全性・信頼性を備えた次世代のネットワークです。しかし,その安全性・信頼性はどこからどうやって提供されるのかというと,いささか疑問が残ります。コアになる通信インフラは,キャリアが整えるわけですが,キャリアさんの考えるセキュリティと,現在インターネットの世界で起こっているセキュリティの課題の間には,ズレがあると思うのです。これはある意味,NGNが潜在的に抱えるセキュリティの自己矛盾と言ってもいいでしょう。

自己矛盾ですか?

 そうです。キャリアさんの行っているインフラ・ビジネスとは,鉄道会社や電力会社と同じで,インフラをいかに保つかというビジネスです。そのためのセキュリティとは,ネットワークが落ちない,品質が安定している,認証をしっかりする,ということです。

 ところが,キャリアさんはセキュリティが目的であってもユーザー・トラフィックには手をつけません。約款やプライバシーの問題があって手をつけてはいけないのです。例えて言えば,検問,検疫,検閲,税関といった業務はやらない。それはキャリアならではの特殊事情です。

 通信の中身を見るIPセキュリティ

 一方,インターネットでは外側からの攻撃に対して,ファイアウォールでブロックしなければならない。逆に内部に侵入したワームやボットからの攻撃が起こったり,情報漏えいなども起こる。しかもその手口がドンドン変わる。そのために外側からと内側からの両方のトラフィックに注意を払って,IDS(侵入検知システム)/IPS(侵入防御システム)を設置したり,ウイルス対策/スパイウエア対策/スパム対策をしなければなりません。

 今までセキュリティの脅威が外部にあるときはよかったのですが,脅威が外部からか,内部からか,分からない時代になってくると,我々が苦労してきた,より細かいネットワーク・セキュリティ対策が必須になります。その眼目とは,ユーザーのトラフィックに手をつけるということです。

 確かにキャリアさんのサービスでもエンドユーザーからの脅威を恐れて必要以上にセキュリティが強化されているところもあるようです。しかし,ネットワークを守るのか,トラフィックを守るのか,その優先順位を付けるのが困難なのです。

そうなるとNGNの抱えるセキュリティに悲観的ですか。

大須賀 雅憲氏

 いいえ。むしろ,それはキャリアさんにとっての新しいビジネス・チャンスだと思うのです。すでにISP(インターネット接続プロバイダ)では,メールのウイルス対策やスパム対策をサービス・メニューに用意するのは当たり前になっています。未成年の利用を考えたコンテンツ・フィルタリングなどもありますね。

 NGN時代には,より高度なIPネットワーク・セキュリティが求められると思います。ITU-Tの仕様でも,セキュリティの観点をまとめ,レイヤーとプレーンからなるセキュリティのフレームワークを策定し,それに基づくセキュリティ対策を勧めています。

 データ・センターや各拠点のセキュリティ対策はもちろんですが,NGN全体のサービス層やアプリケーション層でセキュリティを提供していけると思います。そうしなければ,世の中のNGNに対する期待がしぼんでしまいますよ。

キャリアのセキュリティに,ジュニパーネットワークスはどのような貢献ができますか。

 われわれには,IPネットワークで積み重ねてきたセキュリティ技術を製品化しソリューションとして提供できる用意があります。

 トラフィックを有害か無害かを判定する技術を生かしたものとして,攻撃を動的に緩和できる「Dynamic Threat Migration」という技術や,総合型検疫ソリューションなどを数多く用意しています。

今後,どのような体制でNGNに臨んでいくかお聞かせください。

 すでに米国本社を中心として全社的に,世界の大手キャリアへ売り込みをかけています。大手キャリアの25社中24社が,NGNを見据えた将来の事業展開を考えているようです。これらキャリアへの深い対応と商談を進めています。そのための人員も補充しているところです。

 NGNを構築するには,システム・インテグレータがICTのインテグレータにならなければいけません。そうなるとネットワークというインフラを押さえているインテグレータが強くなるでしょうね。弊社もそれを意識した体制にしています。

2007年はNGNにとってどんな年になりますか。

 2007年はNGNにとって,法人ユーザーへの啓蒙の年になるでしょう。特にNGNのセキュリティの重要性を訴求する必要があります。

 国内大手キャリアさんは,NGNに関して法人営業を活発化させると思います。我々は,そのお手伝いをしていきたいと思います。