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ネットレイティングスの萩原雅之社長

 インターネット利用動向情報を提供するネットレイティングス(東京・渋谷区)の萩原雅之社長は、「時間消費」と「在宅」が2006年を象徴するキーワードだと振り返る。

 同社の調査によると、1人当たりのインターネット月間平均利用時間は前年の16時間20分から17時間41分へと1時間以上伸びた。クチコミ・サイト、Q&Aコミュニティ、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)、ブログといった、消費者が情報を発信するCGM(コンシューマ・ジェネレーテッド・メディア)の台頭が利用時間を伸ばした要因だ。例えば、SNSの代表例であるmixiに月平均3~4時間費やしたり、動画サイトYouTubeでも「1本当たり視聴するのに約5分はかかるため、あっという間に長い時間とどまることになってしまう」(萩原社長)といったことが調査結果から伺える。2006年は、時間消費型のコンテンツがネット上にそろい、これらのサイトを利用する習慣が根付いた年だといえるだろう。同社の調査によると、YouTubeの場合、2005年11月には推計20万人だったのが、いまや800万人が利用する巨大サイトへと進化している。

2006年を象徴する、もう1つのキーワードが「在宅」である。

 企業では、インターネットの私的利用が厳しく制限される傾向にあるため、昼間にネットサーフィンができなくなる人が増えている。したがって、私的にネットを楽しむのは、主に在宅時ということになる。魅力的なコンテンツが増えるのに伴って、自宅にいる短い余暇の時間のなかで、ネットに充てる時間が伸びる傾向が出てきたそうだ。

 萩原社長によると、ある証券会社のウェブサイトにおける視聴率を調べたら、顕著な結果が出たという。これまでは、証券取引所が開いている午前9時から12時、13時から15時がページビューの大きな山を形成していた。これが、今年になって6時~7時、18~19時にも新たな山ができたという。「出勤前と帰宅後に株価をチェックしているから」(萩原社長)だと見ている。「自宅にいる限られた時間のなかでネットの優先順位が向上している証拠」(同)である。

 2007年には団塊世代の大量退職が待ち受けているため、在宅時間が伸びる人口が増える。新たに、どのような山を形成するのかが注目となる。

 一方、企業にとっても、自社ウェブ・サイトの位置づけが変わった1年だった。トヨタ自動車やソニーといった自動車や家電製品のサイトは月間訪問者が推計で200万人を超えた。サントリーや花王のような、飲料や化粧品会社のサイトでも月間訪問者が推計で約150万人。月間訪問者が100万人を超える企業ウェブサイトが急増してきた。例えばソニーの場合は今年度(4~8月)の平均値で348万人、サントリーで175万人が訪れた。同社の調査方法は、全国にいる年齢構成が均等にいる約2万人のモニターの動向からはじき出した数値である。

 「訪問者数が100万人を超えることには大きな意味がある」と萩原社長は強調する。「100万人は地方紙よりも多い数」(同)であり、企業サイトがマスコミュニケーションのメディアに成長したといえるのだ。そのため、企業の広告戦略もウェブサイトを軸に展開するケースが目立ってきた。「2000年当時は会社案内程度しかなかったが、いまや消費者とのコミュニケーションツールに進化してきた」(同)という。メーカーなど直接、利用者の声を収集できなかった企業が新たな武器を得た。自社に興味のある100万人以上の人に向けて情報を発信し、コールセンターで消費者の不満や要望を吸い上げるというサイクルを回せる環境が整った年だといえる。

 ただ、課題もある。企業の情報分析能力の強化だ。大きなメディアに成長したので、情報を集める負担は小さくなった。ただし、この情報を分析できなれければ宝の持ち腐れになってしまう。情報を分析できる人材の育成が不可欠なのである。「ハードディスクの低価格化も進み、企業はあらゆる情報をため込んでいる。集まった情報から消費者のし好を見つけられるかが今後の成長のカギを握る」(同)のである。